日本化学会誌(化学と工業化学)
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Poly[3,3'(1,3-dioxo-1,3-digermoxanediyl)bispropanoicacld](Ge-132)を起点とする薬理活性有機ゲルマニウム化合物の合成研究
秋葉 光雄柿本 紀博
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1994 年 1994 巻 3 号 p. 286-300

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抄録

従来,ゲルマニウムはトラソジス久一やダイオードなどに用いられていたが,故浅井一彦が石炭の木質部分にかなりのゲルマニウムが含まれていることを見いだし,地質時代の植物がゲルマニウムを組織の中に有機体として取り込んだ結果ではないかとの判断のもとにpoly[3,3'-(1,3-dioxo-1,3-digermoxanediyl)bispropanoicacid](Ge-132)を合成した.
この化合物は薬理試験の結果から多彩な薬理作用を有することが明らかとなった.
そこでこの化合物を先導化合物としてさらに活性の強い化合物の開発を目的とし,poly(-1,3-dioxodigermoxane)類,bis(1,3-dithioxodigermathiane)類,4,5-dihydro-5-germafUran-2(3H)one類及び4,5-dihydrcir5-germathiophen-2(3H)-one類,などの新規有機ゲルマニウム化合物を数多く合成し,Ge-132をはじめとする関連化合物の構造及び物性について検討し,興味ある知見を得た.Ge-132をはじめとする関連化合物の薬理作用はこれらの化合物がγ-インターフェロン(IFN)を誘起し,それによる免疫調節作用を有することにより抗腫瘍作用や抗ウイルス作用を示すがさらにCa代謝改善作用,落痛緩和作用,抗酸化作用や老化や糖尿病の合併症などの疾病に深く関与している生体内MaMard反応を抑制する効果を有することなどが,最近見いだされてきた.
本論文では,Ge-132を先導化合物とする有機ゲルマニウム化合物の合成,物性,および薬理活性について化学的,薬理的側面から報告する.

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