2021 年 20 巻 p. 72-77
徳島県鳴門市にて地域の水産加工業者が鳴門産の冷凍ワカメの開発に成功した。今回の研究は,鳴門産の冷凍ワカメの価値を顧客の視点から捉えたうえで,冷凍技術開発過程についてインタビュー調査をもとに調査,分析を行うものである。その結果,顧客価値の発見,冷凍技術開発などのすべての過程で同社の業界内での独自性が影響していること,消費者ニーズと新しい技術に注目しておくことの重要性,冷凍技術開発には経験の蓄積とデータの蓄積の両方が必要であることが示された。また,これまでの自社の弱みを克服するための経験の蓄積が,直観力を創りだしイノベーションを行うための技術開発のスピードを上げたと推測される。