国際社会とアメリカの占領期対日経済援助― ガリオア・エロア援助を中心として―

書誌事項

タイトル別名
  • The Economic Assistance to Japan Provided by International Community and the U.S. during the Occupation Period : Focusing on GARIOA/EROA
  • コクサイ シャカイ ト アメリカ ノ センリョウキ タイニチ ケイザイ エンジョ : ガリオア ・ エロア エンジョ オ チュウシン ト シテ

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抄録

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アメリカを中心とした連合国は、第二次世界大戦後、完膚なきまでに打倒した日独両国に対して、まず戦争犯罪人の摘発・処罰を行うとともに、賠償取立てを進めた。しかし同時に占領政策を成功させるためには飢餓や疾病の拡大を阻止することも緊急の政策であった。ヨーロッパの同盟諸国に対しては、共産主義の拡大を阻止するためにマーシャル・プランに基づくマーシャル援助を大々的に展開したが、旧敵国であった日独に対してはガリオア・エロア援助を供与することになった。ガリオア援助は食料、燃料、医薬品などの緊急性の高い人道援助であり、エアロ援助は経済復興を支援するための援助であったが、被援助国はこれらの援助が無償=贈与と理解していたが復興が進む中でアメリカは返済を求めるようになった。  マーシャル・プラン(援助)も、その根拠法である一九四八年対外援助法第一篇経済協力法により、アメリカからの援助物資を売却した代金を特別勘定として預金することが義務付けられていたが、日独に供与されたこれらの援助物資の売却代金も供与国アメリカがコントロールできる「見返資金」として特別勘定を設置することが義務付けられることになった上に、金利を乗せて長期間にわたりアメリカに返済することになった。こうしたアメリカの対外「援助」は、アメリカの余剰物資を海外に「援助」してアメリカ経済を活性化させつつ、低利とはいえ金利を加えて返済させるというアメリカの強かな対外経済援助政策の原型となったと言える。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 121 (9・10), 315-348, 2015-03-10

    法学新報編集委員会

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