吹雪とその対策(5)―防雪柵の技術史―

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タイトル別名
  • For the control of blowing snow (5)
  • 防雪柵の技術史

抄録

西欧では吹きだまりを水資源として使うために牧柵に似た構造の柵が立てられた.柵はやがて鉄道の開通に伴って防雪柵として使われるようになった.最初の防雪柵は吹きだまり防止のための吹きだめ柵であり,その形状や構造,設置位置や使用法は試行錯誤の経験を積み重ねて改良されていった.経験の繰り返しから柵の構造と防雪機能が研究されるようになっていった.1930年頃に吹き払い柵を開発するために行った切土の気流観測のレベルは現在にも通用するものがあった.こうした経験を積み上げて防雪柵の機能を代表する構造の三つの要素,柵高,空隙率,下部間隙(柵と地表との間の離れ)の理解がされ始めた頃までは経験工学の時代といえる.ローカルな経験は気象や地形・環境条件の異なる地域での使用法を誤らせ,技術者の退任は経験を埋没させ失敗を繰り返すこともあった.経験工学が防雪工学となるのは1950年代のロシア(ソ連時代を含める)からで,その技術はアメリカで完成度を高め日本の防雪工学に影響を与えることになる.日本の家屋敷を雪や寒さから守る「雪囲い」は,日本独特の吹き止め柵として現代に蘇った.

収録刊行物

  • 雪氷

    雪氷 65 (3), 271-278, 2003

    公益社団法人 日本雪氷学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001206460501760
  • NII論文ID
    130000911473
  • DOI
    10.5331/seppyo.65.271
  • ISSN
    18836267
    03731006
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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