双極性障害の早期診断と治療(シンポジウム:うつ病の診断・治療上の問題点とコツ,2008年,第49回日本心身医学会総会(札幌))

  • 田中 輝明
    市立稚内病院精神神経科:北海道大学大学院医学研究科神経機能学講座精神医学分野
  • 小山 司
    北海道大学大学院医学研究科神経機能学講座精神医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Early Diagnosis and Management of Bipolar Disorder(Symposium/Depression-Its Diagnostic Issues and the Knack of Treatment)
  • 双極性障害の早期診断と治療
  • ソウキョクセイ ショウガイ ノ ソウキ シンダン ト チリョウ

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抄録

単極性うつ病と双極性うつ病では治療アプローチが異なるため,「うつ病」診療においては早期診断が重要な鍵となる.抑うつ症状のみで鑑別することは困難であるが,双極性うつ病では非定型症状や躁成分の混入が診断の手掛かりとなることもある.双極性障害の診断には(軽)躁病エピソードの存在が必須であるが,患者の認識は乏しく,周囲からも注意深く(軽)躁症状の有無を聴取する必要がある.双極性障害のスクリーニングには自記式質問紙票も有用である.また,パーソナリティ障害や薬物依存などの併存も多く,複雑な病像を呈するため注意を要する.双極スペクトラムの観点から,双極性障害の家族歴や抗うつ薬による躁転などbipolarityについても確認することが望ましい.双極性障害の薬物治療としては,エピソードにかかわらず気分安定薬が第一選択であり,有効性や副作用(躁転や急速交代化)の面から,抗うつ薬の使用には慎重さが求められる.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 49 (9), 979-985, 2009

    一般社団法人 日本心身医学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (20)*注記

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