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《沈みゆくラジオの王様》TBSラジオの“独裁者”が破壊する「数字」と「社風」と「伊集院光」

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伊集院の新番組について触れると、左遷される恐れが

 4月から伊集院はNHK FMで『伊集院光の百年ラヂオ』を始める。この新番組は『安住紳一郎の日曜天国』の裏なのだ。TBSラジオ関係者が落胆する。

「太田さんはこのことを知らなかったのだと思いますが、伊集院さんの気持ちが既にTBSラジオにない証拠でしょう。1時間しか被っていないとはいえ、伊集院さんの三村社長への意趣返しと考える人もいます。『日曜天国』は、関東に約200あるワイド番組の聴取率ランキング(首都圏。ビデオリサーチ調べ。以下同)で1位です。その枠に伊集院さんが挑む。普通なら局内が大騒ぎになるはずですが、誰も社内でその話題を話さない。三村社長のワンマン体制が敷かれているので、伊集院さんの新番組について触れると、左遷されるのではないかという恐れがあるからだと思います」

 ことは何も、伊集院との関係にとどまらない。三村社長が就任して以降、TBSラジオは凋落の一途を辿っている。ある放送作家はこう語る。

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「現在の体制が始まる前、2018年4月のレーティングでTBSラジオは0.9%で1位でした。しかし、昨年6月の調査では0.5%とほぼ半減し、同率3位に下がりました。ニッポン放送は0.1減に抑え、TOKYOFMは0.1増です。TBSラジオの落ち込みが目立っています」

©AFLO

前社長の入江清彦氏からの退職メッセージを“隠蔽”

 ここ数年、ワイド番組の改編が続いているが、「ことごとく当たっていない」と言うのは現役のTBSラジオ局員だ。

「コロナ禍の2020年6月、ワイド番組の聴取率ランキングでは、TBSラジオがベスト9のうち8つを占めていました。しかし、昨年12月の同じ調査では、その8番組のうち4番組しか残っていません。圏外に落ちたのは『たまむすび』で、あとは終了した『久米宏ラジオなんですけど』、『伊集院光とらじおと』、『有馬隼人とらじおと山瀬まみと』です。つまり、3つに代わる新番組がどれも上手く行っていない。聴取率だけでなく、radikoの数字も取れていません。ちなみに、入江社長時代と違って、三村社長になってからパーソナリティの決定や番組の方向性はトップダウン式に変わっています」

 問題はタレントたちとの関係だけに限らない、と別のTBSラジオ関係者は指摘する。三村社長体制は、局の内部でもさまざまな歪みを生んでいるという。中には社員たちの信頼を裏切るような深刻な事態もあった。そのひとつが、前社長の入江清彦氏からの退職メッセージの“隠蔽”だ。