今回のことば
「日本のロボット掃除機の世帯普及率は4%。これを10%に引き上げたい。ルンバを知っている人たちに、使ってみたときのイメージが涌いたり、使ってみようと思ってもらえる納得感を提供したい」(アイロボットジャパンの挽野元社長)
ロボット掃除機「ルンバ」などの開発、販売を行なう米アイロボットは、新たに日本法人としてアイロボットジャパンを設立。新社長には日本ヒューレット・パッカードでプリンティング事業担当副社長を務め、直近までボーズの社長だった挽野元氏が就任した。
米アイロボットのコリン・アングル会長兼CEOは「過去のアイロボットは企業規模が小さく、それぞれの国に対して最適な投資を行える水準にはなかった。そこで、グローバル展開においては各国の販売会社と提携して、アイロボットの販売を担ってもらっていた。日本は米国市場以外では初めて進出した国であり、セールス・オンデマンドが販売を担い、ロボット掃除機市場では55%のシェアを獲得し、成功を収めてきた。またセールス・オンデマンドを通じて、顧客の声を製品づくりに反映してきた」と前置きし、「グローバル企業として事業成長を遂げ、さらなる規模拡大を目指したいと考えており、昨年は中国に進出し、今年は日本に直接進出することになった。日本で成功すれば、世界で成功すると考えているからこそ、日本の市場を重視している。アイロボットジャパンとして日本の市場に展開することで、優秀な人材を確保し、これからも成功を続けていきたい」と述べた。
これを受けて、アイロボットジャパンの挽野社長は、「日本におけるロボット掃除機の世帯普及率は4%に留まっている。まずはこれを10%に引き上げることを目指し、そのなかで日本のユーザーにロボット掃除機ルンバ、床拭きロボットブラーバを使ってもらうことに力を注ぐ」とし、ロボット掃除機市場の拡大とともにアイロボットのシェアを高める姿勢を示す。
そして挽野社長は今後の日本市場への展開として、「新たな機能を提案することに加えて、いま利用しているユーザーとの関係性を強化したい。顧客ニーズをとらえた製品開発、ロボット掃除機のさらなる普及拡大、200万台以上の販売実績をベースにしたお客様との継続的に関係性の強化といった3つの軸から取り組む」とし、「アイロボットを知っているというだけでなく、使ってみたときのイメージが涌いたり、使ってみようと思ってもらえる納得感を提供したい。子育て世代の利用は30%程度だが、これを40~50%に高めたい。また、共働き世帯での利用は10%以下だが、これもさらに高めていきたい」と具体的なターゲットにも言及する。
「アイロボットジャパンを設立することで、よりエンドユーザーの近くでビジネスができるようになり、顧客ニーズをとらえることができる。日本のニーズを製品づくりに反映したい」と語る。
日本市場に特化した製品づくりにはまだ時間がかかりそうだが、アイロボットでは硬い床などに対応したアジア市場向けのブラーバジェットを2016年8月に製品化した経緯がある。
国内家電メーカーが日本の家屋の特徴をとらえたロボット掃除機を投入し、そこを特徴としているだけに今後は日本の声をより強く反映した製品の投入も期待されるところだ。
成長戦略を打ち出すのは、米国でも同じだ。
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