有名ブランドが次々と撤退…「アマゾン離れ」の裏でショッピファイが台頭

 ルイ・ヴィトンを擁するLVMH社は「アマゾンには出店しない」と明言し、ディズニー、ナイキなどがアマゾンから撤退するなど、有名ブランドの大手ECプラットフォームの1強体制が揺らいできたのはここ1〜2年の間のこと。

 とはいえ、2020年のアメリカでのEC市場シェアではアマゾンが40%近くを占め、圧倒的トップにある。アマゾン離れの受け皿にもなった3位のウォルマートでもわずか6%ほどでしかない。じゃあ2位はどこか。カナダ発のECプラットフォームのShopify(ショッピファイ)が9%弱のシェアでこれに続いている。そしてこのショッピファイ、日本ではまだあまり馴染みがないが、現在、アマゾンを猛追中なのだ。

「ECサイトを展開するには自社でサーバーを用意してサイトを自前で立ち上げる必要がありましたが、ECプラットフォームに参加すればその手間が省けます。またアマゾンや楽天のモールは多くの人が利用するので、集客の上でも役立ちます。ですがナイキやディズニーなどのトップブランドともなればみずからのブランドだけで集客できますから、アマゾンや楽天を介したのでは彼らに払う手数料がもったいないという話になります。一方、ショッピファイではアカウントを作成して管理設定を行うだけでECサイトが作れます。ショッピファイは基本的にはECサイト作成を主なサービスにしているので、モールに支払う割高な手数料がかからない。結果、出品業者が続々とショッピファイに乗り換えているというわけです」(経済ジャーナリスト)

 消費者の感覚としては、アマゾンや楽天の利用は百貨店で買い物をするようなものだ。巨大モールがあって、そこで商品を買う。一方ショッピファイの場合は、ブランドの直営店での買い物だ。モールを介さずに直販で買う。そう例えればわかりやすいだろう。だから、直営店でも客が呼べる有名ブランドは、もはやアマゾンや楽天に出店する必要がない。他で簡単に自社ECサイトを簡単に作成、維持管理できるようになったからだ。

 そのショッピファイ、どれだけ好調かと言えば2020年の売上高は約3080億円で、なんと前年比で86%増。破竹の勢いでこのまま伸びれば、早晩、アマゾンの座をもおびやかしかねないのだ。

「ショッピファイを使って自社サイトを立ち上げた企業として、ネスレやゴーゴーカレー、コムデギャルソン、Red Bullなどがあります。ショッピファイのサービスはその仕組みから言って中小企業にうってつけですが、これらの有名企業の顔ぶれを見ても、商品力で勝負する企業が多いですね」(前出・ジャーナリスト)

 消費者としては、一辺倒に偏りがちなプラットフォームでの買い物以外の選択肢が出てくることは大歓迎だ。

(猫間滋)

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