エレキコミック おバカに徹した“コント妖怪”

2010.11.10


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 天然パーマに特徴ある歯並び、やついいちろう=写真(左)=と大学の後輩だった今立進=同(右)=コンビがエレキコミック。

 漫画家の水木しげるに「コレ、妖怪だ」と言わしめた、やついの独特の顔と濃いキャラクターを武器に、シンプルで自由奔放さが持ち味で「小ボケの連続が多かった」と今立は話す。

 ネタは、やついが台本を書き、2人で仕上げる。「軸を一本作ること。何をいいたいのかが大切ですね」(やつい)。結成13年、コントは熟成され、重みが加わってきた。

 10年前から単独ライブを続ける。今年は5月に銀座博品館劇場で4日間5公演を行い、すべてが新作コント。チケット完売のプレミアムライブの模様は、DVD「エレキコミック第19回発表会『中2のアプリ』」(ポニーキャンオン)に収められている。

 7本のコントで構成。ジワジワとテンションをあげながら、観客をおバカの世界に呼び寄せる。小学生のやついが、親戚の今立にお年玉をねだる「お年玉おじさん」と、オモシロ顔が話題になって取材される、たこ焼き屋店主の切なさを笑いにした「哀愁たこ焼き」は「キングオブコント2010」決勝でも披露した2本。「キングオブ〜」では持ち時間が短尺で表現しきれず無念の敗北だったが、ライブは、ノリのよさとスリリングな展開が詰まっている。

 幕間のVTR「ふざけ登山」は特典映像。竹刀に剣道着のやついがボケながら高尾の山登り。「ハプニングの連続でした」と、やつい。

 冷静で軽快な今立のツッコミと、やついの強い個性。マニアックな芸風から芸人魂が漂う。おバカに徹した“コント妖怪”から目が離せない。 (演芸評論家 高山和久)

 

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