■2008西博義
連日の猛暑と雨のない気候のせいで、 我が家の家庭菜園は水不足にあえいでいる。
穀物価格の高騰が叫ばれているので、 夏前に大豆とトウモロコシの種を蒔いた。 公明党の農林水産部会長として、 世界の食料事情に敏感でありたいとの思いもあって挑戦したが、 残暑厳しい中、 苦戦を強いられている。
日本の食料自給率は40年前には73%もあったが、 今では40%にまで落ち込んだ。
コメ・魚を中心とした和食から、 パン・肉中心の洋食にシフトしたことが大きな原因となっている。
こうした日本の食は、 輸入に大きく依存しているが、 「欲しい食料品があれば、 お金さえ出せば世界のどこからでも、 いつでも手に入る」 という状況は、 ここ数年の間に大きく事情が変わっている。
世界各地の干ばつや不作で供給が減る一方、 中国などの食料需要増やバイオ燃料の需要増などの影響で、 国際的に穀物価格が高騰している。 穀物輸出国が相次いで輸出規制を行うなど、 日本が食料を安定的に確保することが難しくなってきている。
公明党は先日、 食料の安全保障を確立する観点から 「食料自給率50(ごーまる)プラン」 を農水大臣に申し入れを行った。
これまでの施策は、 販売や需要を考慮せず、 生産増を図ろうとしてうまくいかなかった。 したがって、 「50プラン」 では、 需要開拓を積極的に行い、 真に食料供給力が向上するよう、 さまざまな提言を行っている。
公明党の提言を受け、 農水省も、 食料自給率の目標を45%から50%に変更すると発表した。
これは当面の目標である。 これからも、 あらゆる智慧を出しながら、 生産者・消費者双方が満足できる農業政策を実施していきたい。
ところで、 「農家は補助金などがいっぱいあっていいよなー」 という声をよく聞く。 また、 日本の農業は、 必要以上に保護されていると思われている。
コメ (500%) や乳製品などの関税率が高いので誤解されやすいが、 野菜の多くはわずか3%である。
平均関税率は、 日本が12%で、 EU20%、 タイ35%、 ブラジル35%よりずっと低い。
農家に対する直接支払い (補助金) についても、 EUや米国よりはるかに少ない。
貿易自由化の流れの中で、 恩恵を受けてきた製造業の犠牲になってきた側面は否定できないし、 国民も 「たとえ高くついても食料は国内で自給すべし」 という意識が乏しかったと言わざるをえない。
日本ではどこに行っても少しの平地に田畑を開墾して小さな集落が形成されている。
猫の額(ひたい)といわれる日本の農家一戸あたりの農地は、 1・8㌶で、 EUの10分の1、 米国の100分の1、 オーストラリアの1900分の1である。
生産規模の小さい日本の農業は、 圧倒的に不利な立場にもかかわらず、 日本の食を支えるため懸命に努力しているのである。
国民に食料を安定的に供給できるよう、 必要な食料はできる限り自ら生産するという食料安全保障の観点が、 今後、 ますます重要となる。
そのためにも、 生産条件の不利な日本の農業に対して、 大幅な保護・支援策を打ち出すことが急務であると痛感する。
今こそ国民に対して説得力のある政策を提示しなければならないと決意している。
(2008西博義)
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