タイ、中国潜水艦購入へ 対米関係さらに悪化も

 【クアラルンプール=吉村英輝】タイ軍事政権のプラウィット副首相兼国防相は2日、海軍が潜水艦を中国から調達することを承認したと明らかにした。今後、暫定政権の閣議で了承手続きを取る。調達するのは3隻で総額は360億バーツ(約1300億円)で、価格や性能などを「各国と比較し、中国が最もよかった」としている。ロイター通信が伝えた。

 現在、タイ海軍は潜水艦を保有していない。タイ軍は1990年代に韓国やドイツなど数カ国からの潜水艦購入を模索してきた。南シナ海で海洋安全保障の重要度が高まるなか、遅れている海軍の近代化を進める狙いがうかがえる。

 昨年5月のクーデターを受けて、民主化を求める米国はタイへの軍事支援を凍結するなど関係が悪化。一方、タイ軍政は中国の要人と交流を重ねるなど、関係強化を進めている。タイは近隣国との間で領海をめぐる深刻な紛争を抱えておらず、中国からの潜水艦調達が実現すれば、米国との関係がさらに悪化することも予想される。

 タイの2016年の国防費は、潜水艦調達などにより、7%増の2070億バーツになるという。

 購入を予定している潜水艦は、浮上せずに3週間航行し続ける能力がある。建造には5、6年かかるという。

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