米政府 キューバ制裁を緩和 渡航や送金制限など

 【ワシントン=加納宏幸】米政府は15日、オバマ米大統領がキューバのラウル・カストロ国家評議会議長と合意した両国の国交正常化に向け、キューバへの米国人の渡航や送金の制限を16日付で緩和すると発表した。キューバは米側の求めに応じて政治犯53人の釈放を完了しており、これに対応して米政府がとる最初の具体的な動きとなった。

 これまで、米国人のキューバへの渡航には特別な許可が必要だったが、一定の条件を満たせば不要とし、個人がキューバを訪問しやすくする。家族の訪問や米政府職員の公務訪問のほか、報道や研究、宗教、人道支援などを目的とした米国人の渡航が対象となる。

 また、米金融機関がキューバの金融機関に口座を開設することを許可し、送金制限を緩和する。政府や共産党の職員を除くキューバ国民に対して認められている送金は3カ月当たり500ドル(約5万8千円)から2千ドルに引き上げられる。人道支援を目的とした送金は制限を撤廃する。

 ただ、一部を除く禁輸措置のほか、米企業の取引を厳しく制限している米議会の立法に基づく制裁は継続。さらなる緩和は21日からハバナで始まる米国とキューバの高官級協議の交渉対象となる。

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