話の肖像画

日本への傾倒、韓国とのギャップ 帰化、そして祖国 評論家・呉善花(57)(4)

 〈『スカートの風』(三交社)の出版をきっかけに本格的な評論活動に入り、1988年に日本に帰化する〉

 評論活動を続けていくうちに日本がさらに好きになりました。東京外語大の大学院では米国のことをずっと研究していたのですが、結局は日本にすごく魅力を感じるようになり、米国行きはやめました。仕事の依頼も多くなって、主に日韓比較論や日本人や日本文化について書くようになりました。日本人とは何かを探っているうちに、日本と自分が切り離せなくなったのです。日本人がずっと住んできた日本という国に強くひかれていったんです。

 おのずと物事への感じ方や考え方が日本的になっていきます。そういう自分が韓国人と会うと、ものすごいギャップが生じる。韓国というものを外から見ている自分を発見しました。客観的に見ると韓国の矛盾や問題点がすごく見えるようになったんです。韓国の悪いところ、日本人が気がつかない日本の良いところ、この2つを引っ張り出すのが私の仕事の役割だと思うようになりました。日本を愛するようになっているのは極めて自然な流れだと思いました。そこから日本に帰化するのが自然だと思うようになったのです。

 〈愛する日本と祖国・韓国、苦渋の帰化だった。そんな選択は思わぬ波紋も呼んだ〉

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