関西の議論

女性市長に公然と反旗翻した民間出身「教育長」の大乱…いじめ自殺「大津市」騒然、市長は「教委などいらぬ」と強硬

 中2男子生徒のいじめ自殺事件を機に教育改革に力を入れる大津市で、越直美市長が肝いりで起用した民間出身の富田真教育長が、市長に反旗を翻す異例の事態となっている。2月の市議会で、越市長が英語教育を充実させるために来年度予算案に盛り込んだ看板事業に対し、教育長が「疑問だが、やむなく賛成した」などと答弁、両者の対立の根深さをあらわにした。教育委員会不要論を掲げる越市長に対しては、市議会や周辺首長からも批判が出ており、教育長との対立も含めて市の教育行政に暗い影を落としている。

「市長に同意できない」

 平成24年1月に就任した越市長は、マニフェストに「外国語教育の充実」を掲げた。これを実現させるため、26年度一般会計当初予算案に看板政策として挙げたのが「国際理解教育推進事業」だ。

 内容は、外国人ALT(外国語指導助手)を現在の16人から26人に増員する▽文部科学省指定の「英語教育強化地域拠点事業」に採択されることを目指し、対象校で英語の授業時間を増やす▽英検の受検料を補助する-などが柱。

 予算は約1億5400万円を計上。教育委員会関連予算としては、いじめ自殺事件を受けて進める「いじめ対策推進事業」(約2億4千万円)に次ぐ規模で、力の入れようが分かる。

 ところが、2月24日の市議会本会議で市長と市教委の関係について質問されたときのことだ。富田教育長は市長の方針について批判を展開。教育委員会関連予算の編成過程に言及し、一部の新規事業について内容が不透明だったとした上で、「英語教育に突出した予算措置を疑問に思い、協議の中で市長に『同意できない』と申し上げた」と答弁した。

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