上州この人

J1目指すザスパクサツ群馬・服部浩紀監督(43)

 ■「県民から愛されるクラブに」

 サッカーJ2のザスパクサツ群馬の監督として、2015年シーズンから指揮を執ることが決まった服部浩紀さん(43)。前橋市出身で自身もJリーガーとして活躍し、現役引退後は福岡県で15歳以下(U-15)のサッカークラブを創設し、監督を務めてきた。悲願のJ1昇格へ向けて、意気込みや目指すチーム像を聞いた。(大橋拓史)

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 --監督就任の打診を受けたときの心境はどうだったか

 「とてもありがたい話で、うれしい気持ちと同時に『どうしようか』という気持ちもあった」

 --ためらった理由というのは

 「福岡で長年、中学生のサッカークラブの監督をやってきたから、『クラブチームとスクールで教えている子供たちをどうしようか』ということは最初に考えた。自分を頼りにチームに入った選手もいたから」

 --それでもザスパの監督になることを決断した

 「子供たちには日頃から目標や夢を持って、それに向かって前進していけと話している。Jリーグの監督は自分の夢だったから『挑戦したい』と話した」

 --チームの反応はどうだったか

 「保護者も含め、多くの人が『頑張ってください』『応援します』と声をかけてくれた。『俺らの監督は今、Jリーグの監督なんだ』と子供たちが自慢できるような存在でありたい」

 --ザスパをどんなチームにしたいか

 「一人一人の良さを最大限生かし、全員がストレスなくピッチで駆け回れるチームにしたい」

 --昨年は債務超過問題でライセンス剥奪の危機もあった

 「私は横浜フリューゲルス時代にチームがなくなる経験をした。当時は3期連続赤字でリーグから除外されるといったルールもなく、チーム消滅の第一報は新聞報道で知ったほどだった。チームが存続していくことは大変なこと。厳しい状況の中でこそ、全員が同じ方向を向いて、『やってやるんだ』という気持ちを持つことが大切。まずはそういう気持ちを全員に植え付けることから始めていきたい」

 --今のチームの課題は

 「私は戦術、技術は二の次、三の次だと思っていて、『心・技・体』の『心』が最も重要。1、2月にはキャンプもあるから、ハードな練習をこなして、全員で声を掛け合ってチームの心を一つにしたい。その上で、全員で攻撃をし、全員で守備をして、1点の重み、ワンプレーワンプレーを大切にできるチームを目指す」

 --理想とする監督像はあるか

 「選手から『監督のために』『監督と一緒に』と思われるような監督がいい監督なんだと思う。不満を持ったままピッチでプレーしてほしくないから、しっかり選手とコミュニケーションを取って、選手の力を引き出したい。成長途上の選手には教育も含めてしっかりと指導していこうと思っている」

 --県民のJ1昇格への期待は高い

 「今以上にもっともっと盛り上げて、県民の方から注目され、愛されるクラブにしていきたい」

 --ずばり今年の目標は

 「1年目、中でも1年目の前半が一番大切だと思っている。みんなが驚くような結果を出したい」

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【プロフィル】服部浩紀

 はっとり・ひろき 昭和46年、前橋市生まれ。同市立鎌倉中を卒業後、前橋商に進学。高校2、3年のときは2年連続で選手権ベスト4進出を果たす。筑波大在学中には全日本大学選手権を制し、全日本ジュニアユースなど、代表入りも経験した。Jリーグでは横浜フリューゲルス(現横浜F・マリノス)、川崎フロンターレ、清水エスパルスなどに在籍し、2003年シーズンで現役を引退。引退後は福岡県でサッカースクールを開き、平成19年には同県でU-15のサッカークラブを創設。Jリーグ2015年シーズンからザスパクサツ群馬で監督として指揮を執る。

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