加計学園 行政は歪められたのか(上)

新設認めぬ「石破4条件」は獣医師会の政界工作の「成果」だった! 民主党政権でも献金攻勢…

 このいわゆる「石破4条件」により獣医学部新設は極めて困難となった。獣医師の質の低下などを理由に獣医学部新設に猛反対してきた獣医師会にとっては「満額回答」だといえる。北村は獣医師会の会議で「(4条件という)大きな壁を作ってもらった」と胸を張った。

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 愛媛県と今治市が学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部誘致を計画したのは平成19年に遡る。相次ぐ家畜伝染病に悩まされ、「獣医師が足りない」という畜産農家の切なる声を受けての動きだった。

 だが、構造改革特区に何度申請しても却下された。ようやく構想が動き出したのは、21年9月に民主党の鳩山由紀夫が首相となった後だった。

 民主党愛媛県連副代表で衆院議員の白石洋一は、民主党幹事長室で「今治市に獣医学部の枠を取れないか」と陳情した。幹事長の小沢一郎は自民党から業界団体をいかに引きはがすかに腐心していた。資金力のある獣医師会を揺さぶるにはちょうどよい案件に映ったのだろう。22年3月に特区申請は「対応不可」から「実現に向けて検討」に格上げされた。

 慌てた獣医師会は、民主党衆院議員、城島光力と接触し、城島を会長とする「民主党獣医師問題議員連盟」を発足させた。22年7月の参院選では、民主党の比例代表の候補1人を推薦した。民主党議員に対する政治献金もこの時期に急激に増えている。

 ところが、その後の民主党政権の混乱により、またも構想は放置された。それがようやく動き出したのは24年12月、自民党総裁の安倍晋三が首相に返り咲いてからだった。

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 安倍は25年12月、「岩盤規制をドリルで破る」というスローガンを打ち出し、構造改革特区を国家戦略特区に衣替えした。27年6月、愛媛県と今治市が16回目の申請をすると、国家戦略特区ワーキンググループ(WG)が実現に向け一気に動き出した。

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