北朝鮮問題と感染症対策 伊勢志摩サミットの主要議題に 日本政府方針

 日本政府が、核実験と長距離弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮問題と、世界的な大流行(パンデミック)の恐れが高まる感染症対策を、5月の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の主要議題とする方針を固めたことが9日、分かった。北朝鮮のミサイルと核開発は国際社会の重大な脅威となっており、先行き不透明な世界経済問題などとともに首脳間で話し合う。

 日本政府は、北朝鮮が国連安全保障理事会決議に反する核実験を1月に行ったうえ、各国による自制の要請を無視して長距離弾道ミサイルの発射を強行したことから、サミットの首脳宣言で強いメッセージを出す必要があると判断した。

 首脳宣言をテコに国際世論を喚起して、国連や国際会議などで北朝鮮の挑発行為を封じ込める圧力を高める狙いがある。地域情勢ではウクライナや中東問題などについても協議。国際テロ組織や難民の問題に関しても話し合う見込みだ。

 一方、中南米で急速に拡大しているジカ熱や、西アフリカを中心に2014年に拡大したエボラ出血熱などの感染症は、交通機関の発達で短期間にパンデミックを引き起こすリスクが高い。さらに感染症の病原は国際テロ組織が一般市民への無差別攻撃に使う危険性も指摘されており、国際社会の深刻な脅威となっている。日本は保健・衛生分野での途上国支援に力を入れており、感染症対策で国際協力をリードしたい考えで、サミットでも主要議題として取り上げる。

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