将来世代のため水準確保へ抑制強化 低年金者対策に課題残す 年金制度改革法成立

 年金給付抑制の強化策などを盛り込んだ年金制度改革法が14日、成立した。年金抑制の強化は将来世代の年金水準を確保するため、現在の高齢者に少し我慢をしてもらうのが狙いだ。ただ、年金抑制の結果、日々の生活が成り立たなくなるような低年金者への対策も必要となる。

 現行制度は、毎年度の年金額は物価や賃金に連動して改定するが、ここ数年の賃金低下で年金の相対的な高止まりが生じている。年金制度改革法で、将来世代の年金水準が目減りし過ぎないよう平成33年度以降、賃金が下がった場合は必ず年金を減らす仕組みを導入する。少子高齢化の進展に合わせ支給水準を毎年約1%ずつ抑える「マクロ経済スライド」も30年度以降、デフレ時に実施しなかった抑制分を翌年以降に持ち越し、景気回復局面でまとめて抑制するよう改める。

 この結果、低年金に陥る高齢者への対策として、政府は国会審議で31年10月の消費税率10%引き上げに合わせて低年金者向けに月5千円の給付金を実施すると理解を求めたが、不十分だとの指摘も少なくない。

 今後、国民年金保険料の納付期間の延長やパートへの厚生年金の適用拡大などで、年金水準のアップを目指すことも検討されそうだ。

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