「グ・ラ・メ! 〜総理の料理番〜」 テレビ朝日 金曜午後11時15分
「総理官邸」を舞台に、最高の料理を作るシェフたちの物語もいよいよ最終盤。演じる清沢総料理長は他者を突き放すような言動を連発し、目線は氷のように冷たい。だが、この「孤高」ともいえる男の存在感がドラマに深みを与えている。
「清沢は誰よりも料理に対して純粋な人。自分の料理は100点でなくてはならず、99点でも101点でも駄目だと感じる本物のプロです。彼の純粋さやブレなさがうまく伝われば、と思って演じました」
主人公のくるみ(剛力彩芽)は、料理を通じて振る舞う相手に「メッセージ」を込める。それとは対照的に、清沢はあくまで自分が考える最高の料理を提供することに徹する。「料理の勝ち負けではなく、とにかく自分の道のみを究める。この感覚を、調理シーンやせりふの一言にどれだけ出せるかを意識しています」
出演作ごとに全く異なる役柄を、ごく自然に演じる。演技で心掛けていることを尋ねると、「演技から外れること」との答えが。まるで、禅問答のようにも聞こえるが…。
「演技という言葉を解体すると、『演じる技』になります。この演じる技を駆使してしまうと、立体感がなくなるというか、『どうだ!』って感じが出てしまうというか。僕の場合、足かせになるんです。あくまで、自分と役の境界線がないように心掛けています」。話しぶりを聞いていて、「侍」「仕事人」という単語が記者の頭をかすめる。