日本映画製作者連盟は24日、都内で記者発表会を開き、2016年（平成28年）の全国映画概況を報告した。総興行収入は2355億800万円（前年比108.5％）、総動員数は1億8018万9000人（前年比108.1％）となり、同連盟の岡田裕介会長は「2000年から興行収入を発表させていただいていますが、2016年度の収入は17年間で最高の成績となりました」と発表。邦画の興行収入は、ブームを起こした新海誠監督の長編アニメーション『君の名は。』が235.6億円、紅白歌合戦でも話題になった『シン・ゴジラ』が82.5億円を記録し（※2作品とも現在上映中）、上位10作品中8作品を東宝配給作品が占めた。

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　2016年に日本国内で公開された作品は邦画610本、洋画539本の合計1149本で、構成比は邦画が63.1％、洋画が36.9％。岡田会長は「邦画、洋画共に前年に続いて『君の名は。』『ズートピア』などアニメが好調だった」と見解を述べた。

　特に邦画界を大きく盛り上げた『君の名は。』『シン・ゴジラ』を配給した東宝の代表取締役・島谷能成氏は「32本を配給して、年間の興行収入は854億円と歴代1の成績になった」と報告し、特に『君の名は。』については「新しいアニメーション時代の到来を見せつけられた1年」とコメント。この2作品の大ヒットを受けて「新海誠さん、庵野秀明さんという個性的で強力な才能を持ったクリエイターが持てる力を全開し、迷いなくドライブしてくれたことに尽きる」と感謝を込め、以下のように分析した。

　「『シン・ゴジラ』については、ゴジラは東宝を代表するキャラクターであり、2014年にはハリウッド作品としてリメイクされて世界に名を響かせたときから、どうしても母国である日本でもう1度すばらしさを見てもらいたいと願っていた。その夢を庵野さんが見事にかなえてくださった。現代の日本をリアルに活写して、観客をスクリーンに釘付けにし、観た方が当事者になるような映画になった。観客の皆さんが自分のストーリーを探して、発信してくださったことも大ヒットにつながった」。

　「『君の名は。』のすばらしさを発見してくれたのは、観客の若者たち。豊かな魅力を評価してSNSで拡散してくださった。口コミは足し算でも掛け算でもない。やがてそのことがきっかけになって世代、性別を超えて多くの日本人の琴線を響かせる作品に育ち、興行全体に大きな実りをもたらしてくれた」。

　今後に向けては「2017年は大切な年になる。多くのお客様にもう1度映画館に来ていただいて、新しい作品に触れていただきたい」。今年も実写では『ジョジョの奇妙な冒険ダイヤモンドは砕けない第一章』（8月4日公開※ワーナー ブラザース ジャパン合同会社と共同製作・配給）、アニメではスタジオジブリ出身の米林宏昌監督による『メアリと魔女の花』（夏公開）など話題作が控えており、「大忙しの1年になると思う」と力を込めた。

◆2016年興行収入上位10作品（2017年1月）
1位：『君の名は。』235.6億円（東宝）
2位：『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』116.3億円（WDS）
3位：『シン・ゴジラ』82.5億円（東宝）
4位：『ズートピア』76.3億円（WDS）
5位：『ファインディング・ドリー』68.3億円（WDS）
6位：『名探偵コナン　純黒の悪夢』63.3億円（東宝）
7位：『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン！』55.3億円（東宝）
8位：『ONE PIECE FILM GOLD』51.8億円（東映）
8位：『信長協奏曲』46.1億円（東宝）
10位：『ペット』42.4億円（東宝東和）
WDS＝ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

◆2016年邦画興行収入上位10作品（2017年1月）
1位：『君の名は。』235.6億円（東宝）※
2位：『シン・ゴジラ』82.5億円（東宝）※
3位：『名探偵コナン　純黒の悪夢』63.3億円（東宝）
4位：『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン！』55.3億円（東宝）
5位：『ONE PIECE FILM GOLD』51.8億円（東映）
6位：『信長協奏曲』46.1億円（東宝）
7位：『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』41.2億円（東宝）
8位：『暗殺教室〜卒業編〜』35.2億円（東宝）
9位：『orange-オレンジ-』32.5億円（東宝）
10位：『映画 聲の形』23億円（松竹）※
※は現在上映中