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フィギュア・羽生 被災地へ届け、16歳の「勇気の舞」

(更新)
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訂正 4月16日7時に掲載した「フィギュア・羽生 被災地へ届け、16歳の勇気の舞」の記事中、アンコールに「ラプソディー・イン・ブルー」を披露したとあったのは「パガニーニの主題による狂詩曲」の誤りでした。

「氷の上にいた。立っているのが精いっぱい。少しずつ揺れがおさまってから、外に出たけれど、スケート靴のまま、ブレード(刃)カバーを付けるのも忘れていた」

東日本大震災があった3月11日、昨季のフィギュアスケート世界ジュニア王者で今季の四大陸選手権で2位となった羽生結弦(16、東北高)は仙台市内のアイスリンク仙台で練習中だった。

4日間、避難所で過ごす

ゴムや柔らかい布以外の地面を踏むと、ブレードは一度で使えなくなる。カバーを付けることは染みついた習慣なのに、すっかり抜けていた。

羽生を含め、阿部奈々美コーチ、その生徒たちは無事だった。しかし、しばらくしてリンクに戻ると、氷が解けて水浸し。配管が壊れたと聞かされたが、詳細は分からず、立ち入り禁止になってしまった。リンク近くにある羽生の自宅も電気、ガス、水道が通じなくなり、家族で4日間、避難所で過ごした。

「水や食料を供給してもらって、たくさんの人に支えられていると実感した」。電気が通じたので戻ったが、ガスは4月まで使えなかったという。

各地のリンクが被災

少し落ち着くと、スケートをできる人はやろう、という雰囲気にはなったが、氷がない。アイスリンク仙台は宮城県だけでなく、秋田、岩手、山形県のスケーターにとっても唯一の通年リンク。遠くに行くにも、交通手段がなく、リンク被害は関東にも及んでいた。

茨城県の笠松も損壊して再開は未定。東京の明治神宮外苑アイススケート場も天井や壁の一部が破損。「破損しなかった部分の点検、修理もする。6月をメドに再開したい」(神宮外苑総務部)。千葉市のアクアリンクちばも、9日にやっと再オープンにこぎ着けたところだ。

結局、震災から10日後、羽生は母親と高速バスで横浜に向かった。リンクから脱出したときにダメにしたスケート靴をまず新調、そのまま、横浜で練習を再開した。4月1日、節電で営業を休止していた青森県八戸市のリンクが再開すると、今度は阿部コーチの生徒30人らと共に、八戸に移動して合宿。それを終えると、再び横浜に戻った。

選抜に出場したクラスメートの姿を見て

リンクを転々とする生活。羽生は朝と夜に練習時間をもらっても、気持ちが乗らず、朝は行けない日も少なくなかった。練習以外の時間はホテルの部屋にこもりがちだったという。

そうした羽生を勇気づけたのが、選抜高校野球に出場した東北高のナインだった。3月28日、大垣日大を相手に0-7で敗れたが、テレビでクラスメートの姿を久しぶりに見て、元気が出てきたという。

ただ、まだ気持ちのアップダウンは激しく、余震で仙台が再び停電したと聞くと、ふさぎ込んでしまうこともあった。

チャリティーショーのリンクに立つ

羽生に再び笑顔をもたらしたのは、観衆の歓声だった。4月9日、神戸で企画されたチャリティーショーのリンクに、バンクーバー五輪銅メダルの高橋大輔(関大大学院)、トリノ五輪金メダリストの荒川静香さんらとともに立った。

フィギュアといえば名古屋、というイメージだが、1998年長野五輪のころは、仙台も一大拠点だった。当時、仙台にいた選手たちが今、関大に集まっている。指導者の元五輪選手の本田武史(福島出身)、田村岳斗(青森出身)は東北高OBで、高橋大輔と長光歌子コーチが出会ったのも仙台だ。

チャリティーショーは震災直後から、こうした関大メンバーらが中心になって話し合い、実現にこぎつけた。入場者は立ち見も含めて約2700人。募金やチャリティーオークションなどで1300万円を超える額が集まった。

チャリティーショーが開かれた神戸は1995年、阪神大震災に見舞われている。その街を今、目にしたとき、震災で大きな被害を受けたとは思えなかった。「自分の生まれた街が崩壊するのは悔しかったけれど、力を合わせれば復興のメドが立つんだ、と思った」と羽生は言う。

ショーで「白鳥の湖」などを披露

ショーでは滑り慣れた「白鳥の湖」と、アンコールで「パガニーニの主題による狂詩曲」を披露した。スタンディングオベーションが起きた精いっぱいの演技に、見守った阿部コーチは「心がこもっていて、泣けてきた」と話す。

14日、羽生は仙台に戻り、東北高で始業式に出席した。18日からは再び、八戸へ行き、5月以降、横浜、八戸、横浜、金沢、東京……、ショーに呼ばれた先々で、リンクを融通してもらって練習していくつもりだ。「自分にできることはスケートだけ。スケートを通して一生懸命な姿を見せて、少しでも多くの人に勇気を与えられればいいな」と言う。

日本スケート連盟の強化選手である羽生は、ナショナルトレセン(中京大アイスアリーナ)が使え、かつて仙台にいた長久保裕コーチがいる名古屋のリンクも便宜を図ってくれる。海外からも練習に来ないかという声もかかっている。しかし、今のところ、拠点を仙台から移すつもりはない。

「今はとにかく滑りたい。この思いをスケートにぶつけたい」。たまった思いをはき出してから、先のことは考えるそうだ。

(原真子)

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