岐阜県指定金融機関、大垣共立に交代へ 県議会が十六銀案否決
岐阜県の公金収納や支払事務の窓口となる指定金融機関(指定金)をめぐって、県議会は7日の総務委員会と本会議で、2015年度以降も十六銀行を指定する議案を、最大会派の県政自民クラブなどの反対多数で否決した。これにより十六銀の交代が決まり、県は9日にも別の金融機関を指定する議案を提案する。同クラブが求めている大垣共立銀行への交代が確実な情勢になった。
7日の総務委と本会議では、十六銀継続案に対して、自民クラブの議員から「経験のない金融機関に経験させることで競争原理が働く」「緊張感、透明性を保つために交代は必要」などの交代論が相次いだ。
一方、他の会派からは「交代させる必然性がない」「明確な理由がなく交代させるのは例がない」と慎重な対応を求める意見も出た。
否決を受けて、古田肇知事は記者団に「ベストな選択と判断したが、賛同してもらえなかったのは誠に残念」と述べた。そのうえで、「否決の根拠とされた『交代ありき』では、むしろ競争原理は働かない」と県議会の対応を批判した。
県の指定金は制度が始まった1964年から、十六銀が一貫して務めてきた。しかし自民クラブは「競争原理の導入」を理由に、大垣共立銀との交代制を主張。昨年3月、指定金の契約に議会の議決を義務付ける条例を可決した。
9月県議会で、県は指定金が交代した場合、システムの改修費に1億5千万円が必要と説明。「4金融機関に指定金を担う能力がある」としながらも、十六銀の実績や交代に伴うリスクを勘案して「十六銀がベスト」(古田知事)と理解を求めてきた。
指定金の選定は基本的には首長に委ねられる。47都道府県で交代制をとっているのは長崎、沖縄の2県だけだ。県議会の議決により指定金が交代するのは全国でも例がない。(岐阜支局長 杉野耕一)
自治体の財政悪化で預貸金金利などに入札制が広がり、かつてのように採算を度外視した手数料率を設定することは難しくなっている。
指定金を輪番制にする自治体も多く、例えば三重県尾鷲市は百五銀行、紀北信用金庫など4つの金融機関が2年交代で務めている。