旧千代田区役所跡、医療・介護一体の拠点に 15年春に開設
東京都千代田区と国家公務員共済組合連合会(東京・千代田、KKR)は同区役所の旧庁舎跡地に、約250床の病院と介護施設を建設する方針を固めた。近くにあるKKRの九段坂病院が移転し、同じビルに区の在宅医療・介護の拠点を設置する。2015年4月の開設を目指す。東京都心部に医療・介護の一体施設が誕生する。
同区役所の旧庁舎は地下鉄九段下駅の近くにあり、敷地面積は約3400平方メートル。今年度中に旧庁舎の解体に着手し、その跡に地上13階程度(延べ床面積は約2万4000平方メートル)のビルを共同で建設する計画だ。
建設費は100億~130億円程度になる見通し。区有地に50年の定期借地権を設定し、KKRが土地の賃借料を区に支払う。建物はそれぞれが区分所有する。
病院部分は延べ床面積1万9000平方メートル。現在の九段坂病院は病床数が約210床で、内科、外科、整形外科などの外来がある。移転後は東京都の許可を得て、約250床にする計画。増床分は現在は千代田区内にない回復期リハビリテーションの病棟に充てる見通し。
区が開設する介護施設は「高齢者総合サポートセンター」(仮称)で、延べ床面積は5000平方メートル。リハビリテーションなどの通所施設や高齢者の相談窓口を設置する。KKRの病院が訪問看護などで協力するほか、緊急時には入院や専門診療の受け入れ先になるため、相乗効果が見込めるという。
九段坂病院は建物の老朽化と狭さが問題になっており、かねて増改築を検討していた。ただ、現在地での増改築は病院の運営継続が難しいことから、旧庁舎跡地に移転したいとの意向を区側に示していた。KKRは高度医療を担う虎の門病院を運営しており、区にとっても区民への医療提供の質の向上が期待できると考えた。
千代田区役所は07年、旧庁舎の近くにできた合同庁舎に移転した。都心の一等地にあるため、その跡地の動向が焦点になっていた。
東京医科歯科大の川渕孝一教授(医療経済学)は「高齢化が進むなか、都心部では医療の拠点となる土地は見つけにくく、公有地の活用は有効。九段坂病院は整形外科に定評があり、リハビリを強化する上で良い組み合わせ」とみている。