国内企業物価8月2.4%上昇 4年9カ月ぶり上げ幅
日銀が11日発表した8月の国内企業物価指数(2010年平均=100)は102.5となり、前年同月比で2.4%上昇した。上昇は5カ月連続。08年11月(2.4%)以来4年9カ月ぶりの高い伸びとなった。円安の影響でガソリンや電気料金などが上昇したほか、景気回復に伴い原材料高を最終財価格に反映する価格転嫁の動きが徐々に広がってきた。
企業物価指数は出荷や卸売りなど企業間で取引するモノの価格動向を示す。分野別では、石油・石炭製品の16%上昇や、電力・都市ガス・水道の8.5%上昇の影響が全体を押し上げた。
全820の調査品目のうち、前年同月比で指数が上昇したのは366品目と全体の44.6%を占めた。下落品目は345品目と同42.1%だった。上昇品目の数が下落品目を上回るのは、12年2月以来1年6カ月ぶりだ。
円安によって円ベースの輸入物価が17.6%上昇しており、輸入物価の上昇がガソリンや食料品などに徐々に波及している格好だ。また好調な住宅投資や東日本大震災からの復興需要を背景に、鉄骨など建設資材関連にも上昇の動きが出てきた。
一方、鉄鋼製品の中には値上げ交渉が決着したにもかかわらず、収益回復が遅れている電機や造船向けで値上げ幅が圧縮される動きも見られるという。食料品でもハムやソーセージなどが値上げされる一方、パンやマーガリンなどには値上げしにくい品目も残る。
日銀の調査統計局では「経済は緩やかに回復しており、需給バランスが改善していけば、円安や原材料高の転嫁や、収益回復を背景として値上げ交渉が進みやすくなる」と見ている。