トヨタ、BMWと燃料電池車を共同開発 次世代電池も
トヨタ自動車は24日、独BMWと燃料電池車(FCV)の共同開発で正式合意したと発表した。2015年にFCVの市販を目指すトヨタはBMWとの提携で開発期間の短縮とコストの引き下げを目指す。2社は次世代の高容量リチウム電池の共同開発などでも合意。11年末に始まった2社の提携関係は次世代の環境技術を軸に一段と広がりそうだ。
トヨタが発電装置など燃料電池車の基幹部品の技術を供与する。これをもとにBMWは自社でFCV開発を進め20年にも市販車を売り出す。トヨタは15年に自前の市販車を日米欧で投入する方針。それに続いて20年にはBMWと共同で燃料電池の基本システム全般を新たに開発する計画だ。
トヨタの内山田竹志副会長は記者会見で「2社の技術を共有してFCVの普及に向けた大幅なスピードアップを図り、長期で信頼関係を築く」と語った。BMWはFCVの水素ボンベなどに使われる軽量素材の炭素繊維の技術に強い。両社は強みの技術を持ち寄ることで競合他社を突き放したい考えだ。2社は水素を車に充填する設備の整備や規格・基準の策定でも協力していく。
このほかリチウムと空気中の酸素の化学反応で電気を起こす「リチウム空気電池」の共同研究の開始でも合意した。一部のハイブリッド車(HV)で使われているリチウムイオン電池の次世代モデルで、エネルギー密度や燃費に優れるという。
スポーツカーでも中型サイズの車種について2社で車台(プラットホーム)を共有する方針。どういった車台が事業として最適かについて年内に調査を終える。その後は共同で開発する超軽量の強化樹脂などを使いながら本格的な車の開発に着手する構えだ。
トヨタとBMWは11年12月にディーゼルエンジンの調達など環境技術分野での協力で合意。BMWのヘルベルト・ディース上級副社長は「(環境対応など)将来の課題に取り組むために両社が力を合わせる」と述べた。今後はHV分野でも協業を具体化させる見通しだ。資本提携の可能性については両社とも「必要ないと思っている」(ディース上級副社長)など否定的な認識を示した。