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クルマの衝突予防 ミリ波レーダー進化で普及加速へ

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ITpro
近年の自動車には、障害物を検知して自動でブレーキをかけたり、周辺車両の速度や車間距離を測定して自車の速度や車間距離を制御したりする、衝突予防システムの搭載が進んでいる。ここでは、自動車の衝突防止システム、およびセンサーの概要を俯瞰(ふかん)し、ミリ波帯を使ったレーダーでの歩行者認識機能への取り組みを解説する。

衝突予防システムに用いるセンサーとしては、カメラを使う画像認識やミリ波レーダーが活用されている。これらのセンサーの性能を比較すると、車両や壁といった大きな障害物の認識には差はないが、歩行者の認識については今のところカメラが優位に立っている。

しかし最近になって、ミリ波レーダーで歩行者の認識性能を高める技術のメドが立ってきた。ドイツでは次世代のミリ波レーダーに歩行者認識機能を搭載し、2015年後半に量産する計画が明らかになっている。これにより、衝突予防システムがシンプルかつ安価になり、対応車種が増える可能性がある。

各種センサーに一長一短

国内の大手自動車メーカー各社は、主力車種を中心に衝突予防システムを搭載している。例えばマツダの場合、図1に示すように様々なセンサーを使い、衝突予防システムを構築している。

表1に、各社が開発した衝突予防システムと現在使われているセンサーの種別を挙げる(右)。これらのセンサーについて、以下で説明する。

1.ミリ波レーダー:レーダーは周囲に電波を放射し、その反射波を測定・分析することで対象物の距離・方向・サイズを計測する。ミリ波レーダーはその名の通り、放射する電波にミリ波(波長が1~10mm程度で、周波数が30G~300GHz(ギガヘルツ)の電波)を利用する。測定可能距離は100~200m

2.カメラ:カメラ画像を使う障害物認識は古くは1960年代から研究が進んでおり、自動車への応用については1980年代から研究開発が進められている。衝突防止システムのセンサーとしては障害物までの距離や奥行きの情報も取得する必要があるため、カメラを複数台設置して立体的な情報を収集する「ステレオカメラ」として利用する。測定可能距離は200m程度

3.赤外線レーザーレーダー:赤外線はミリ波よりもはるかに波長が短い(760nm程度)ため、距離の測定精度が高くなる半面、測定可能距離が短くなる。測定可能距離は20m程度

4.サブミリ波レーダー:サブミリ波はミリ波よりも波長が1桁短い(1mm未満)ため、ミリ波と赤外線の中間的な特徴を有する。測定可能距離は50m程度

このように様々な種類のセンサーが使われているのは、それぞれ得意・不得意があるためだ(図2)。カメラは障害物の形状認識には強いが、夜間はライトなしには全く機能せず、また雨・霧・雪といった悪天候に弱い。

測定可能距離長いミリ波レーダー

電波法施行規則には、「免許を要しない無線局」の一つとしてミリ波レーダーと使用周波数帯が規定されている。

本規則を受けて、60GHz帯、76GHz帯、79GHz帯でミリ波レーダーとしての技術的要件が策定されており、ARIB(電波産業会)が「ARIB STD-T48(60GHz帯、76GHz帯)、STD-T111(79GHz帯)」で標準化している。

図2に示したように、ミリ波レーダーは測定可能距離が長く、昼夜で性能差は生じない。また、赤外線ほどではないが悪天候にも比較的強い。一方、現時点では歩行者や自転車など小さな障害物の検知能力が弱いとされている。

歩行者認識機能の実現技術

しかし、冒頭で紹介したように、歩行者認識機能を搭載したミリ波レーダーが開発された。開発したのは、ドイツContinentalである。

同社は1871年の創業以来、タイヤを主力製品とするが、ブレーキや車両システムも手掛ける。2006年に米Motorolaのカーエレクトロニクス部門を、2007年にドイツSiemensの自動車電子部品部門を買収し、自動車の電子制御にも進出した。

ミリ波レーダーには、距離・相対速度(速度差)の検知、および方位検知の各々にいくつかの方式がある。

今回Continentalが開発を表明した歩行者認識機能は、距離検知方式を従来の「FM-CW方式」から「パルス圧縮方式」に変更したものだ(図3)。

FM-CWは周波数変調(FM)を施した連続波(CW)を使う。これに対し、パルス圧縮方式は変調によって広帯域となったパルスを送信し、受信信号を復調して空間分解能を高める技術である。

Continentalによると、パルス圧縮方式を採用したことで強い反射波と弱い反射波を分離し、歩行者からの反射波を識別できるようになったという。歩行者からの反射波の強度は金属製の車両に比べ1000分の1 (-30dB)と極めて弱い。従来の技術では他の反射波に埋もれてしまい、識別できなかった。

しかし、今回のContinentalの技術開発により、ミリ波レーダーによる歩行者識別にメドが立った。このインパクトは大きい。測定可能距離が長い、昼夜の性能差がない、悪天候にも比較的強いといった長所を持つミリ波レーダーを使った衝突予防システムが、より普及する可能性が出てきたからだ。

この新しいミリ波レーダーは2015年後半から量産が始まる。そして、欧州の自動車安全テストプログラム「Euro NCAP (European New Car Assessment Programme)」が2016年に始める、自動ブレーキ機能の歩行者試験に対応できるレベルにスペックを設定する計画だ。

清尾俊輔(せお・しゅんすけ) 情報通信総合研究所 主任研究員。1995年、北海道大学大学院修了後にNTT移動通信網(現・NTTドコモ)入社。同社移動機開発部、知的財産部を経て2012年より情報通信総合研究所で勤務。2014年2月から現職。現在は無線技術を中心とした世界のモバイル市場と周辺動向の調査研究に従事。

[ITpro 2014年9月24日付の記事を基に再構成]

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