香港議会補選、民主派が辛勝 急進派に一定の支持
【香港=粟井康夫】前議員の辞職に伴う香港立法会(議会)の補欠選挙が28日に投開票され、民主派が推した公民党の楊岳橋氏(34)が親中国派の候補をかわして初当選した。一方、中国との一体化に反発する急進的な「本土派」が一定票を確保するなど、民主派陣営の分裂傾向もあらわになった。
楊氏の獲得票数は16万票で、親中国派の最大政党、民建聯の周浩鼎氏(36)の15万票に約1万票の差を付けた。香港の自治拡大を求め、既存の民主派の手法は生ぬるいと批判する「本土民主前線」の梁天琦氏(24)も6万6千票を獲得した。
補選が実施された新界東区は民主派の地盤。楊氏は辞職した前議員の事実上の後継候補として出馬し、当初は大勝するとの見方が強かったが、梁氏に一定の票が流れた形だ。楊氏は当選後の記者会見で「大勝とは言えない。有権者が民主派に革新の機会を与えた」と語った。
梁氏は九龍地区の繁華街、旺角(モンコック)で2月上旬に起きた警官隊と若者の衝突を主導した1人で、騒乱罪の疑いで逮捕されて知名度が上昇した。梁氏が全体の15%の票を獲得したことは、2014年秋に若者らが道路を占拠した「雨傘運動」の終結後、有権者の間で民主化の進め方をめぐり亀裂が深まっている証左といえる。
本土派の台頭は9月に予定する立法会の本選挙にも影響を与えるのが確実だ。梁氏は地元テレビのインタビューで「本土派、親中国派、民主派が鼎立(ていりつ)する局面を作りたい」と述べ、立法会選挙に本土派の候補擁立を検討する考えを示した。