インドネシアも中国と舌戦 「南シナ海」の一部呼称変更
【ジャカルタ=鈴木淳】中国は南シナ海でも周辺国との対立が再燃した。インドネシアが南シナ海南端にある同国の排他的経済水域(EEZ)を「北ナトゥナ海」と命名し、中国は「全く意味のない行為」と反発した。
インドネシア政府は14日、国境や海の境界線を示した地図を更新したと発表。ナトゥナ諸島沖には従来の「南シナ海」ではなく「北ナトゥナ海」という新しい名前が付けられた。この海域はインドネシアのEEZだが、昨年、中国が「伝統的な漁場」と権利を主張し、両国が鋭く対立した。
中国は新たな命名にもすぐ反応し、「南シナ海の呼称は国際的に認められている」(外務省報道官)と強調した。これに対し、インドネシアは「『北ナトゥナ海』は自国のEEZのことを指すだけで、『南シナ海』全体の名前を変えたわけではない」(ルフット海事担当調整相)と主張した。
中国による南シナ海の実効支配が進む中、インドネシア側には自国の権利を守る姿勢を国内外に示す狙いがあったとみられる。同海域は豊かな漁場であり、ガス田開発なども進んでいる。