米、1000人の健康観察 エボラ、2人目感染確認
【ワシントン=川合智之】米疾病対策センター(CDC)は17日、米南部テキサス州ダラスの病院でエボラ出血熱の陽性反応が出た女性看護師が、ウイルスに感染していたことを確認したと発表した。同病院で8日に死亡したリベリア人男性からの感染が確認されたのは2人目。CDCと航空会社は看護師が乗った飛行機の乗客ら約千人の健康状態を観察する。
オバマ米大統領は17日、感染阻止の対策を指揮するため、バイデン副大統領の首席補佐官を務めたロン・クレイン氏をエボラ対策の担当官に起用することを決めた。アーネスト米大統領報道官は「官民でのマネジメント経験があり、議会やホワイトハウスに太い人脈を持つ」と説明した。
オバマ氏は同日、米ホワイトハウスでエボラ熱の国内対策について会議を開いた。患者との接触者全員を特定し、必要なら監視する取り組みについて協議。州や自治体の当局者や医療従事者を政府をあげて支援する方針を確認した。
テキサス州の保健当局は同日、ダラスの病院で死亡したリベリア人男性と接触した関係者に対し、潜伏期間の21日間が過ぎるまで、公共交通機関での移動や、レストラン、食料品店、映画館などへの外出をしないよう要請した。
米社会では感染の懸念が一段と広がっている。死亡したリベリア人男性の検体を扱っていた病院の女性職員が、12日からカリブ海クルーズ船で米国を出国していたことが判明した。船はメキシコへの着岸を拒否され、出発地のテキサス州に引き返した。女性職員は船内で隔離されている。
2人目の看護師は感染検査を受けた14日の前に飛行機で移動したが、CDCは看護師が10日から発症していた疑いを指摘。看護師がオハイオ州からテキサス州に戻った13日の便だけでなく、10日の往路の便も汚染された可能性が出てきた。CDCと航空会社は往復の飛行機が消毒されるまでに、これまでの100人超に加えて約880人の搭乗者を経過観察する。
世界保健機関(WHO)は17日、西アフリカのセネガルでエボラ出血熱の流行が終息したと正式に宣言した。リベリアなどでは感染拡大が続く。