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ソフトバンク誤算 スプリント、米業界4位に転落

孫社長「再建に自信」

(更新)
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【ニューヨーク=清水石珠実】ソフトバンクグループ傘下の米携帯大手スプリントが総契約件数で米業界3位から4位に転落した。4日発表した4~6月期決算では6月末時点の総契約件数(プリペイドなどを含む)が5766万件となり、4位のTモバイルUS(5890万件)に抜かれた。およそ10年間保ってきた3位の座を失った。

スプリントの4~6月期の最終損益は、2000万ドルの赤字(前年同期は2300万ドルの黒字)だった。売上高は前年同期比9%減の80億2700万ドル。

スプリントは最新の通信網の敷設や割安プランの導入に出遅れたことが響き、新規契約の獲得競争でTモバイルの後じんを拝した。Tモバイルは2012年から値ごろ感を前面に掲げた販売戦略を続け、ベライゾン・コミュニケーションズとAT&Tの2強から乗り換え客の獲得に成功している。契約の途中解約に手数料を課す「2年縛り」を大手4社でいち早く撤廃し、米消費者の評価も高まってきた。

ソフトバンクにとって最大の誤算は、Tモバイルの買収が実現しなかった点だ。ソフトバンクは当初、13年に買収したスプリントとTモバイルを合併させ、上位2社に対抗する「第三勢力」の形成をめざしていた。だが、14年夏に米当局の反対で合併を断念した。

Tモバイル買収に注力してきた分だけ、スプリントで低価格料金の導入や通信網整備が遅れた。それが皮肉にも交渉相手だったTモバイルに追い抜かれる要因となった。

ソフトバンクの株価が半年で1%下落したのに対し、NTTドコモは36%、KDDIは23%上昇し時価総額も両社に抜かれた。営業利益の8割を稼ぐ国内通信事業でシェアを大きく落としたわけでなく、株価低迷は「スプリント再建が不安視されている点に尽きる」(SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリスト)。

スプリントは約1年前に就任したマルセロ・クラウレ最高経営責任者(CEO)の下で、巻き返しを図る。Tモバイルより安い料金プランを投入し、2月には経営破綻した家電小売店の店舗を一部取り込んで販売網を約半年で4倍に拡大した。

この結果、契約者の流出傾向に歯止めがかかってきている。「利益率の高い携帯電話(プリペイド、タブレットを除く)の契約で、新規の契約件数が解約数を上回る純増状態がこの3カ月続いている」(クラウレ氏)

3日には最高財務責任者(CFO)の交代を発表し、経営陣の一角も刷新した。4日は「つながりづらい」とされる通信網の追加強化策を発表した。スプリントの反転攻勢に向けた経営を好感し、同社の株価は4日、一時10%超上げた。

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