パリ協定きょう発効 温暖化対策、新たな枠組み
【パリ=竹内康雄】2020年以降の地球温暖化対策「パリ協定」が4日、発効する。05年に発効した京都議定書に続く温暖化対策の国際合意で、先進国に加え、中国やインドなど途上国が温暖化ガス排出抑制に取り組む枠組みは初めてとなる。国際社会はモロッコで7日開幕する第22回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)で協定実行のためのルール作りの交渉に入る。
協定発効には55カ国以上が批准し、世界の温暖化ガス排出量の55%に達する必要がある。10月5日に2つの条件を満たし11月4日の発効が決まった。京都議定書が1997年の採択から発効まで約7年かかったのに比べパリ協定は15年12月の採択から1年足らずでのスピード発効となった。
批准したのは世界最大の排出国である中国のほか、米国や欧州連合(EU)、インド、ブラジル、メキシコなど。気候変動枠組み条約事務局によると、3日現在で94カ国・地域が批准している。
協定は「地球の気温上昇を産業革命前から2度未満に抑える」といった大きな目標を掲げるが、排出量取引の活用や先進国から途上国への資金支援などの詳細は決まっていない。今後、こうした分野のルール制定に向けた交渉を始める。
日本はパリ協定の発効時期を見誤り、批准へ向けた手続きが遅れた。そのため、COP22の期間中に開く批准国による第1回締約国会議(CMA1)へはオブザーバー参加にとどまる。政府としてはCOP22までに国会承認を終え、何とか体面を保ちたい考えだ。
現時点では、同協定の承認案は4日の衆院本会議で可決、成立する見通し。参院では先に可決しており、承認手続きは終了する。