米シティ、カード事業売却を発表 三井住友信託に
米シティグループは31日、日本のクレジットカード事業を三井住友信託銀行に売却すると正式に発表した。シティバンク銀行の個人金融部門は三井住友銀行への売却で合意しており、日本での個人事業の売却先がすべて決まった。シティは今後、グローバルな拠点網を生かした企業の資本調達支援やM&A(合併・買収)の助言業務などに集中する。
三井住友信託が2015年末までに「ダイナース」ブランドのカードを発行するシティカードジャパンの全株式を取得する。取得額は非公表だが400億円強とみられる。ダイナースの会員は富裕層が多いのが特徴だ。約74万人のカード会員に信託商品を提供したり、銀行の顧客にダイナースのサービスを提供したりする。
米シティで日本事業を統括するビル・ミルズ氏は31日、日本経済新聞の取材に対して「日本の個人事業を売却することによって、株主の資本をシティが強い競争力を持つビジネスに投下していく」と語った。日本では企業や機関投資家向け事業を続け、日系企業の海外展開や買収戦略を後押ししていく。
個人事業を売却した理由は「日本の市場は競争が激しい。競争力を持つには一定の規模が必要だったが、そこに達しなかった」と指摘した。事業売却に際しては「顧客の円滑な移行を最優先に取り組んでいく」と述べた。