こりゃスゴイ。中日の新外国人ホルヘ・ソーサ投手(34=メキシカンリーグ)が10日、沖縄・北谷キャンプで初の打撃投手を務め「完全投球」を披露した。この日登板した主力6投手の中で最速となる147キロの直球を軸に平田、大島、藤井と対戦。ストライク25球で安打性0本と文句なしの内容を残した。テスト生で来日し7日に契約を結んだメジャー通算44勝の右腕に、高木守道監督(70)も「開幕投手が増えそう」とニンマリだ。

 親戚もスゴイが、本人もスゴかった。かつてのメジャー本塁打王サミー・ソーサ氏と親戚だという竜のソーサが、マウンドで圧巻の投球を披露した。岩瀬、川上、吉見、浅尾、ネルソンとともにメーン球場のフリー打撃に初登板。主力6投手の大トリで登場し平田、大島、藤井の開幕スタメン候補をねじ伏せた。この時期は投手有利だが、それにしても迫力十分。藤井に4球連続ボールなど、制球にやや不安を残したが、6投手で最速の147キロ直球を軸に、ストライク25球で安打性0本と「完全投球」だ。

 ソーサ

 今日は打撃の練習。バッターがしっかりスイングできるように、コントロールに気を付けた。まだ80~85%の力。それでも147キロ出たみたいだね。100%の力なら、98マイル(約158キロ)は出るよ。

 投げ終えたメジャー通算44勝右腕は体重100キロの巨体で、力強いコメントを残した。最高球速は、テスト生として来日した1月28日に口にした97マイルから1マイル増…。ただ、これもご愛嬌(あいきょう)。現実の投球は、期待感を抱かせるに十分な内容だった。

 テークバックが小さいスリークオーター気味の投法で、打者はタイミングを取りにくい。さらに、インステップから繰り出す直球は、鋭くシュート回転で右打者の内角に食い込んでくる。対戦した平田は「球が速いっす。シュートもしてくる。右打者は(打つのが)無理だと思います。踏み込んで投げてくるからオビスポ(前日本ハム)のようなタイプ」。8日のシート打撃でチーム1号を放つなど、乗りに乗っている平田も“白旗”をあげるほど。何とも強烈な印象を残した。

 高木監督もニンマリだ。「いいんじゃない。147キロでしょ。速さがいい。開幕投手が増えそうだね」。すでにベテラン山本昌を“指名”しているが、1度でハートをつかまれた。大本命の吉見を中心とした開幕投手争い参戦の可能性も浮上。権藤投手コーチは「適正はこれから」と起用法を慎重に見極める方針だが、先発となれば開幕投手争いはヒートアップ必至。自らの長所を問われ「自分で自分のことは言いづらい」と照れたが言葉はいらない。名刺代わりの、ソーサの快投だった。【八反誠】【ホルヘ・ソーサ

 アラカルト】

 ◆生まれ

 1977年4月28日、ドミニカ共和国。

 ◆出身校

 サンホセ・デ・メンドーサ高。

 ◆球歴

 18歳の時にロッキーズと契約。当初は外野手としてプレーしていたが、肩の強さを見込まれ投手転向。02年にデビルレイズに移籍しメジャーデビュー。その後はブレーブス、カージナルス、メッツ、ナショナルズ、マーリンズ。昨季はメキシカンリーグでプレー。

 ◆実績

 メジャー通算44勝53敗、防御率4・72。

 ◆家族

 妻と1女。

 ◆親戚

 同国の英雄サミー・ソーサ氏(43)と血縁関係。「お父さんの方の遠い親戚なんだ」。

 ◆趣味

 釣り、仲間と過ごすこと。

 ◆背番号

 65。

 ◆サイズ

 188センチ、100キロ。

 ◆投打

 右投げ右打ち。