巨人に「2番坂本」という新たな選択肢ができた。18日、宮崎キャンプでの紅白戦で、坂本勇人内野手(22)が白組2番で先発出場。1回無死一塁では送りバントを1発で成功させ、走者がいる場面ではチャンスを広げ、得点圏の走者も適時打でかえすなど3打数3安打1打点。送って良し、打っても良しの坂本が、飛ばないとされる統一球導入で増えそうな接戦をものにするための、1つのオプションとなる。

 坂本に迷いはなかった。1回裏、無死一塁。「バントと思って打席に入りました」。2番坂本は初球からバントの構えを取ると、1ボールからの2球目を一塁側に難なく転がした。昨季31本塁打を放った男が見せた完璧な犠打に、ベンチの仲間もハイタッチでお出迎え。得点にこそつながらなかったが「チームとして、バントです。しっかり決められて良かった」と笑顔を見せた。

 これで終わらないのが「2番坂本」の真骨頂だ。3回裏2死一塁で迎えた第2打席では、左前打でチャンスを広げてクリーンアップへ。5回の第3打席では1死三塁の走者を中前打で生還させた。3打数3安打1打点、1犠打に1四球。送るだけでなく、打つときは確実に打つ。本人は「今日はいい結果が出たけど、続くわけじゃないですから」と慎重だが、原監督が「川相のような2番がいてもいい、攻撃的なジーターのような2番がいてもいい」と話していたように「堅実かつ積極的な2番」の色を出した。

 飛ばないといわれる統一球元年の今季に向け、雨だった前日17日を休みにし、日程を変更してこの打順を試した。昨季の巨人得点数は12球団2位の711点だが、岡崎ヘッドコーチは「統一球で総得点が減ることが予想される。接戦が多くなる中でいかに1点を取るか」。だからこそ、バントもこなせ、長打力があるうえに状況に応じた打撃ができる「坂本2番案」が浮上した。

 原監督は「今日はたまたま2番だった。いろんな可能性の中でやっていく。開幕の時、どれが一番か、チームにとっていいのか探る」と慎重だ。一方、横浜加古スコアラーは「バリエーションは増えるでしょうね」と言えば、中日筒井スコアラーは「松本を1番に置きたいんでしょう。松本の1番は嫌ですね」と2番坂本による波及効果も口にした。

 今日19日の広島戦を皮切りにオープン戦が始まる。坂本は「今日はいいところが出たけど、できるだけ確率を上げていければ。勝つことを考えてやりたい」と打順にこだわらず勝利だけを見据えた。V奪回へ、1人で何役もこなせる坂本が相手のさらなる脅威になる。【浜本卓也】

 [2011年2月19日9時7分

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