ヤンキースからFA(フリーエージェント)となったイチロー外野手(41)が、新代理人としてジョン・ボッグス氏と契約したことが6日(日本時間7日)、分かった。今オフはヤ軍との契約が満了となり、残留または移籍先を探す段階。メジャー15年目を迎えるにあたり、新パートナーとのタッグで交渉を進めることになった。

 日米通算でプロ24年目を迎えるイチローが、新たなパートナーと手を組んで新天地を探すことになった。01年にマリナーズ入りして以来、代理人だったトニー・アタナシオ氏の健康上の理由もあり、心機一転、ベテランのボッグス氏と契約することになった。

 メジャーでプレーを続けるという、イチローの強い意志の表れだった。ボッグス氏は、米球界で28年間にわたって代理人業務を務め、故トニー・グウィン氏(パドレス)をはじめ、ツインズのポール・モリター新監督、A・ゴンザレス(ドジャース)ハメルズ(フィリーズ)らの契約をまとめてきた腕利きの代理人。米球界内でのネットワークも広く、イチローにとっては頼もしい存在といえる。

 今オフ、イチローの「市場価値」は、現段階で不透明とはいえ、触手を伸ばす球団は決して少なくないとみられる。クルーズ、マーカーキス(ともにオリオールズ)、カブレラ(ブルージェイズ)らがFA選手の上位にランクされているとはいえ、予想される高額条件と実績、実力などを考慮すると、現実的には「売り手市場」。規定打席不足ながら打率2割8分4厘、15盗塁の成績を残し、外野の全ポジションをこなすイチローがフィットする球団は複数に上るとみられる。ヤ軍としても、今季と同じように「スーパーサブ」的な存在として再契約する可能性も残されている。

 何より、イチロー自身の気持ちに、変化は見られない。公式戦終了直後「今から162試合やれと言われても問題ない」と話したように、体調面での不安は感じていない。10月上旬からニューヨーク近郊でトレーニングを開始。この日は、ほっともっと神戸で2日続けて練習した。来季へ向けて、イチローの準備は着々と進んでいる。

 ◆ジョン・ボッグス

 アメリカン大卒業後、83年から大リーグ選手の代理人業を始め、86年に代理人事務所JBAスポーツ社設立。07年に殿堂入りし今年6月に死去したトニー・グウィン元外野手の代理人を長年務めたことで知られ、これまで成立させた選手の契約金総額は8億ドル(約920億円)。主な高額契約は11年に結んだエイドリアン・ゴンザレス内野手(32=当時レッドソックス、現ドジャース)の7年1億5400万ドル(約177億円)、12年に結んだコール・ハメルズ投手(30=フィリーズ)の6年1億4400万ドル(約166億円)など。主な契約選手は他にビクトリーノ外野手(レッドソックス)、ケイヒル投手(ダイヤモンドバックス)、モリター監督(ツインズ)。

 ◆今オフのメジャーFA外野手事情

 今季本塁打王のクルーズ(オリオールズ)、3拍子そろったカブレラ(ブルージェイズ)がトップクラスとはいえ、全体的には人材不足。マーカーキス(オリオールズ)、リオス(レンジャーズ)が続く形だが、大型契約は考えにくい。むしろ青木(ロイヤルズ)やイチローのような俊足巧打で上位打線をこなせる選手は不足気味。各チームの戦略次第では、需要が高くなる可能性は十分にある。またイチローは、米メディア制定の全ポジション対象のFAランキングではヤフースポーツ80位、NBCスポーツ70位で、データサイト「FANGRAPHS(ファングラフス)」では52位だった。