伝統のピンストライプで不惑を迎える。ヤンキースは19日(日本時間20日)、FAになっていたイチロー外野手(39)の残留を正式発表した。2年総額1300万ドル(約10億4000万円)で、打席数などに応じて出来高も付くことが判明。最大1450万ドル(約11億6000万円)になり、ヤ軍が今オフに再契約したFA選手では初の複数年を結んだ。

 名門に認められた自負がにじみ出た。この日、契約の一報を弓子夫人経由で聞いたイチローは、所用で東京都内に滞在中だった。「ポテンシャルだけでやってきた39歳と、いろんなものを積み重ねて、さまざまなことを考えて、そこにきた39歳を一緒にしてほしくない」と誇りを口にし、「ヤンキースはそのことを理解してくれているということではないでしょうか。とても感謝しているし、その気持ちに応えたい」と喜びを語った。

 年俸総額の抑制を図るヤ軍は今オフ、優先順位の高かった黒田、ペティット、リベラの3投手でも単年契約で、長期保証を望む右翼スウィシャーとの再契約は見送った。残留希望のイチローにも当初は単年提示だったが、フィリーズ、ジャイアンツなどが年平均でも上回る2年契約をオファー。終盤戦、激しい優勝争いの原動力となったイチローの存在は来季も欠かせないと、ヤ軍が譲歩する形となった。球団ホームページでは再び40人枠に名前が入り、ヤ軍移籍時に変えた背番号「31」で登録された。

 イチロー

 勝つことへの強い思いはどのチームの人間であっても持っているものですが、ヤンキースには負けを許さない空気が存在している。これが共存している組織は実はなかなかないのではないか。そんなチームが必要としてくれるなら、断る理由はない。

 年齢は野手最年長になるが、常勝軍団の一員として、ベテランの地位に甘んじるつもりはない。