<シリーズ・地方民放の地上デジタル「戦略方程式」(第4回)>
TVA(テレビ愛知)
ケータイ連動番組や海外買い付けなどオリジナルソフト拡充


2002年6月号掲載(※記事の抜粋。全文は本誌をお読み下さい
 テレビ愛知(TVA)は地上デジタル先発組の名古屋地区で、もっとも若い(1983年開局)テレビ局だ。きたるべきデジタル戦国時代を見据えて、柔軟な発想で番組の自社調達・制作、番販ビジネスを進めている。高橋和雄・常務取締役制作本部長に、同社のソフト戦略を中心に話を聞いた。
(文:大石 収・本誌編集部)


「海外番組の「産地直送」
権利問題も直接交渉でクリア

 TVAでは、番組ソフトの充実・強化に早くから取り組んできた。
 1998年にデジタル放送推進室(現デジタルメディア局)を組織。また、同年社内横断的なBSデジタル委員会(現デジタル化委員会)が中心となり、デジタル放送時代を想定しての編成、具体的な番組ソフト拡充戦略を練り上げた。
 ソフト増強策として、まずとりかかったのが海外からの番組調達。ソフト購入・販売を主業務としたTVAエンタープライズを98年12月に設立し、各国のテレビ局、番組制作会社を訪問。英・独・中国などから、これまでに9タイトル計180本のドラマ、音楽番組、子供向け番組などを買い付けてきた。同社では放映権獲得だけでなく、日本語版を制作。これらは自局放映や系列だけでなく、CSや他局への番販も行っている。その数のべ20局、約400本。
 高橋和雄常務取締役は「質の高い番組をリーズナブルな価格で購入でき、権利関係も直接交渉でクリアできるのが"産地直送"の強み」と直接買い付けの効果について語る。F.コッポラ製作総指揮のSFドラマ『FIRST WAVE』(英)、『セサミストリート』と同じプロダクション制作の教育番組『ノック!ノック!ようこそベアーハウス』など、"売れセン"も次々と出てきた。
 また、ニュースマガジン『ヨーロピアンジャーナル』は独DW社の番組を衛星で受信、見出し以外は英語音声のまま(番組ホームページで英字幕配信)で放映している。


ケータイ利用の視聴者参加番組
『写めっけ!』は登録会員1,300人超

 当然自社番組開発にも力を注いでいる。なかでも、業界関係者をあっといわせたのが、ケータイ利用の視聴者参加番組『写めっけ!』だ。番組ではいくつかのお題を設け、視聴者はJ‐フォンの写メール(カメラ付携帯電話)を使って、画像とショートコメントを送信する。入選作品は番組のほか、ホームページ上でも公開する。02年2〜3月に計8回放映したが、深夜帯での放映ながら投稿者の会員登録は1,300人を超えた。
 番組誕生の背景について、「地元企業、教育機関などとの異業種交流会から生まれたアイディアを形にしました。東海地区でのシェアが高いJ‐フォンの携帯端末とテレビを使って、何か面白いことができないかと、当社のメディア開発部が中心になって作りました。視聴者からの反応も上々でした」(高橋常務)。
 番組のWebアクセスもTVAホームページ上位3位以内をキープするなど好評で、携帯電話の進化に合わせて内容を充実させ、5月から放送を再開する。


基幹放送設備の構築も着実に
栄地区にスタジオを新設

 デジタル移行に向けた基幹放送設備の構築も着実に進めている。「TVAでは2000〜04年度の投資額を60億円前後と見込んでいる。うち、57億円が02年度からの3年間で投資計画に組み込まれている」(高橋常務)。今年11月には名古屋市栄地区にサテライト・スタジオを新設する。地域情報番組の制作・発信をさらに進めるための新拠点とする予定だ。
 本誌の地方民放局調査などで、各局関係者が挙げた今後の課題の一つに「コンテンツの確保」がある。権利処理の煩雑さがブロードバンド配信など新規ビジネスへの参入を阻むだけでなく、自主制作番組比率の低い局では、系列構造が崩壊した場合、局の浮沈に関わる問題となってくる。コンテンツ不足を嘆くテレビ局に、TVAのソフト戦略は大いに参考になるのではないか。


(※記事の抜粋。全文は本誌をお読み下さい

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