Ministry of Health, Labour and Welfare

English

高齢者医療の円滑な運営のための負担の軽減等について

平成20年6月12日
政府・与党

新たな高齢者医療制度は、これまでの老人保健制度の問題点を解決すべく、長年にわたり、多くの関係者が議論を積み重ねた上で、国民皆保険制度を将来にわたり維持するため、現役世代と高齢者でともに支え合うものとして設けられることとなった。

高齢者の方々の医療費を国民全体で分かち合っていく仕組みは、高齢者の方々の医療を守っていくためにも必要であり、その円滑な運営を図るため、引き続き地方自治体関係者とも十分連携しながら、制度の趣旨・必要性を懇切丁寧に説明し、ご理解をいただく努力を重ねていく必要がある。

こうした中で、本年4月からの制度の施行状況等を踏まえ、制度の円滑な運営を図るため、高齢者の置かれている状況に十分配慮し、次の1から7の通り、きめ細かな措置を早急に講ずるとともに、地方自治体関係者と十分連携して、さらに広く国民に周知する。

1.保険料の軽減対策

(1)所得の低い方への配慮として、7割軽減世帯のうち、長寿医療制度の被保険者全員が年金収入80万円以下の世帯について、9割軽減とする。

(2)所得割を負担する方のうち、所得の低い方(具体的には年金収入210万円程度まで)について、所得割額を50%程度軽減する。

(3)これらの措置を講じてもなお保険料を支払えない事情がある方については、個別の減免も含め、市区町村におけるきめ細かな相談体制を整備する。

(4)これらの措置は、平成21年度から実施し、今年度においては、経過的な軽減対策を講ずる。

(5)以上の財源措置については、システム改修経費等の取扱いや概算要求基準との関係を含め、政府・与党の責任において適切に対処する。

2.年金からの保険料徴収については、以下の場合、申し出により普通徴収ができることとする。

[1]国保の保険料を確実に納付していた者(本人)が口座振替により納付する場合

[2]連帯納付義務者(世帯主又は配偶者)がいる者(年金収入が180万円未満の者)でその口座振替により納付する場合

(注)65歳から74歳の国保に加入する世帯主の年金からの保険料徴収についても同様の扱いとする。

3.診療報酬における終末期相談支援料については、当面凍結することを含め、取扱いについて中医協で議論を行い、速やかに必要な措置をとるとともに、検証する。後期高齢者診療料についても、中医協で速やかに具体的な検証作業に着手する。

4.制度についての広域連合及び市区町村の果たすべき役割と責任分担を明確に規定する。さらに、国、都道府県、広域連合、市区町村を通じて一層の広報活動を行うとともに、特に保険料に関する相談対応について、市区町村の役割を明確にする。

5.長寿医療制度との関連で自治体独自の医療費助成事業や人間ドック費用への助成事業の在り方について様々な指摘がある。これらの事業は、自治体独自の事業であることから、それぞれの自治体において、その実情も勘案しつつ、高齢者の方々に対する十分な情報提供や理解を得るための取組みを含め適切な対応を求める。また、広域連合や市区町村の創意工夫による健康増進への取組みを促進する。

6.本制度に基づく各種事務事業の実施に当たっては、分かりやすい説明、見やすい印字などに心がけるべきであり、例えば、保険証の切替え時期には、印字を大きく変更するなど高齢者の方々に十分配慮すべきである。

7.資格証明書の運用に当たっては、相当な収入があるにもかかわらず保険料を納めない悪質な者に限って適用する。それ以外の方々に対しては、従前通りの運用とし、その方針を徹底する。

<今後、与党においてさらに検討すべき課題>

(1)保険料軽減判定を個人単位で行うことについては、他制度との関連も含めて引き続き検討し、早急に結論を得る。また、世帯内で個々人が加入する保険が異なること等加入関係の変化に伴う問題についても、併せて検討する。

(2)保険料の年金からの徴収の対象要件(年金額18万円以上)の引上げやいわゆる被扶養者の年金からの徴収の是非等そのあり方については、他制度への波及等も含めて引き続き検討する。

(3)70歳から74歳の医療費自己負担増(1割→2割)及び被用者保険の被扶養者の保険料負担についての平成21年4月以後の扱いについては、昨年10月の与党高齢者医療制度に関するプロジェクトチームのとりまとめを踏まえ、引き続き検討する。

(4)都道府県の関与の在り方について検討する。

なお、円滑な運営等について本制度の実施状況を十分検証しつつ、引き続き、与党で検討し、適切に対応していくこととする。


トップへ