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犬の交配に関する基本と注意~メス犬の発情周期からオス犬探しまで

 犬の交配について、メス犬の発情からオス犬との交尾に至るまでを詳しく解説します。メス犬の発情周期とは何なのでしょうか?またお相手となるオス犬はどのようにして選ばれるのでしょうか?画像とともに見ていきましょう!
注意とお願い  ここでは犬の繁殖に関する客観的な事実を述べていますが、興味本位や暇つぶしでの繁殖は推奨しておりません。漠然と「子犬がほしいなぁ~」と考えている方は、犬や猫の殺処分について犬や子犬の里親募集も、あわせてご一読ください。

犬の発情周期

 発情周期(はつじょうしゅうき)とは、犬が交尾に対して心身ともに準備が整い、積極的になる時期サイクルのことです。
メス犬は発情期と休止期を、およそ90日サイクルで繰り返します。
 通常、生後7ヶ月を過ぎたメス犬には発情期が来るようになり(中・大型犬の場合は8ヶ月以降)、発情周期は6ヶ月に1度(1年に2度)が平均です。犬を屋外で飼育した場合、日照時間の影響から晩冬~早春、および晩夏~初秋の2回発情することが多いようです。一方オス犬には明確な発情周期がなく、生後11ヶ月を過ぎたら1年中交尾が可能な状態になります。
性成熟
 性成熟(せいせいじゅく)とは生殖活動が可能な体に成熟することで、メスの場合は排卵と発情出血(8~16ヶ月齢ころ)、オスの場合は射精機能の発育(7~12ヶ月齢ころ)によって特徴付けられます。
 猫、犬、馬においては、オスの性成熟前に去勢を施しておくと、オス同志の争いが起こりにくくなるといわれます。これは性成熟期におけるテストステロン(男性ホルモンの一種)の一過性大量分泌(およびそれに連動したアンドロゲンの分泌)が闘争行動を生み出しているためと考えられます。
 なお上記した「発情期」は、さらに以下のように細分できます。

発情前期

 発情前期は体内でホルモン濃度が上がり始める時期で、3~27日間とかなりの幅があり、平均すると8日(前後3日)程度続きます。
 尿の頻度が多くなり、自分の性器周辺を良くなめるようなしぐさを見せます(写真左端)。また外陰部(がいいんぶ)が肥大して出血が見られるようになるのが特徴です。
 出血量にはばらつきがあり、多い場合は生理帯(せいりたい=月経血を吸い取る吸収材)が必要となるほど出血しますが(写真中央)、少ない場合は全く出血の見られないこともあります。
 この時期のメス犬は性器から特殊な匂い(フェロモン)を発しており、オス犬はその匂いでメス犬が発情していることを知ります。ですからこの時期のメス犬を屋外やドッグランにに連れ出すと出会うオス犬が皆興奮してしまいますのでなるべく外出は控えるようにします(写真右端)。
発情前期は約11日間で、上記したような特徴が現れます。
メス犬の思わせぶり  メスは本当の発情期を迎える前の発情前期に、すでに性フェロモンを分泌していると考えられますが、これは複数のオス犬をフェロモンでおびきだして争わせることが目的だと指摘する研究者もいます(B.Hart)。
 メス犬の立場からすると、発情期を迎えた頃にはオス犬の争いに決着がつき、最も強い、すなわち自然界において生存確率が高く、最も優れた遺伝子を持っているオスだけが残っているという計算です。

発情期

メス犬がオス犬の前でしっぽを横にずらすことが、交尾のOKサインです。  発情期はメス犬の心と体が準備万端で、実際にオス犬を受け入れることのできる期間で、10日(前後3日)程度続きます。
 尻尾に触れると、反射的に斜めに上げて自分の性器を見せるようになります(写真右)。発情期に入って2~3日後(出血から数えて13~14日目)に排卵(はいらん=卵子が子宮内に放出されること)されることが多いため、その前後2日くらいが最も妊娠しやすい交尾期間(出血から11~16日)ということになります。
 排卵された卵子は約5日間受精可能な状態が続き、条件にもよりますが射精されたオスの精子はメスの体内で約2~7日間生き続けます。
メス犬の尿フェロモン  メス犬の尿に含まれる「メチル-p-水酸化ベンゾエート」という化合物が、オス犬を誘引し刺激する特性を持つ「フェロモン」であるといわれます。発情前期~発情期にかけて、メス犬がオス犬の前で後肢を持ち上げておしっこをすることがありますが、これは尿中のフェロモンによって相手のオスをひきつける能動的性行動(自分から率先してオスを誘う行動)という側面があります。

発情後期

体内ホルモンの変化により、あたかも妊娠しているかのような振る舞いをするのが「偽妊娠」(想像妊娠)です。  発情後期(発情休止期とも)は排卵が終わり、発情期に見られた心と体の変化が元に戻る時期で、約60日間続きます。
 この時期には妊娠の有無にかかわらず黄体ホルモン(おうたいほるもん)が出ており、子宮内膜が増殖して乳が張ってきます。期間はおおむね妊娠期間と同じだけ続きます(約2ヶ月)。
 また発情後期の後半からプロラクチンというホルモンが増加することにより、「偽妊娠」(ぎにんしん/想像妊娠とも言う)という行動を示すことがあります。これは、妊娠していないにもかかわらず、あたかも子供を宿した母犬のような行動をとることであり、具体的にはお乳が張り・乳汁も分泌され・巣作り(営巣行動)、人形や小動物を我が子のように扱うなどの行動が見られるようになります(写真右)。
偽妊娠の意味  Voithは、最もランクの高いアルファメスしか仔を産まないオオカミの群れにおいては、偽妊娠に適応的な意味があると考えています。彼女は群れの中のメスは、アルファメスの産んだ仔と遺伝的に関連した叔母であることが多いこと、そしてアルファメスが何らかの理由によって保育できなくなっても、偽妊娠を起こした他のメスが授乳を助ける乳母の役目を果たすことができることを挙げ、偽妊娠とは群れの中における育児のセーフネットである、という側面を指摘しています。ですから犬が偽妊娠を起こすのも、こうした群れ社会における名残なのかもしれません。

交配に最適な時期

メス犬の出産適齢期は2~5歳くらい  メス犬が出産するのに適した年齢は、一般的に2~5歳くらいと言われます。理由としては、最初の発情で出産させてしまうと、胎子に栄養を摂られて母体の成長が阻害されること、および、1歳程度で出産させてしまうと母犬が遺伝病を保有しているかどうかわからないこと、などが挙げられます。また6歳を過ぎてからの出産は母体への負担が大きく、また筋力が衰えて難産になりやすいため、一般的には避けられます。
 メス犬が出産適齢期に入ったら、交配の前にまず健康診断を受けて寄生虫、遺伝病、ブルセラ症、その他生殖器系の病気がないことを確認します。そしてメス犬の発情サイクルを把握する必要がありますが、排卵日を予測する代表的な方法は以下です。
排卵日と交配最適日の予測法
  • 受容姿勢を観察する  メス犬がオス犬を許容するときの受容姿勢(じゅようしせい)が見られてから3日目に排卵が起こりやすいといわれていますので、その日を狙って交配最適日を計画します。
     なお受容姿勢とは、メス犬がオス犬を受け入れるときの特徴的な行動や体勢のことです。具体的には、オス犬の接近に対してしっぽを上げて外陰部を見せる、マウンティング(乗駕)されてもじっとしている、じっと待ち構えているように見せかけながら、いざ近づこうとすると突然駆け出し、またすぐに立ち止まる「じらし」を繰り返すなどです。
  • 外陰部の縮小を観察する  発情前期に入ると、エストロゲンの作用によって徐々に外陰部が硬くなっていき、発情期で硬さが最大となります。そしてこの硬く腫脹した外陰部は、排卵後やや小さくなるといわれていますので、外陰部が小さくなった日の翌日か翌々日を交配最適日として計画します。
  • スメア検査  ネズミ、ハムスター、モルモット、及びイヌでは性周期の時期によりスメアーに周期的な変化が生じることから、性周期の時期、および交配最適日を判定する材料として利用されます。
     スメアー(vaginal smear, 日本語では膣垢)とはメス犬の膣内貯留物のことで、主に膣粘膜から剥がれ落ちた細胞、白血球、粘液から構成されます。血液中のホルモン濃度を調べるテストに比べると、正確性では劣りますが、料金が安く、また血液を抜かないことから動物に対するストレスの少ない検査法として用いられます。なお、交配最適期のスメアは、角化上皮細胞の割合がほぼ100%になるのが特徴です。
  • 血清プロゲステロン値  排卵前に血清中のプロゲステロン値がやや上昇を始めますので、血液検査を行うことで交配最適日を計画します。血清中のプロゲステロン値が2~4ng/ml以上の値を示したとき、排卵が起こることが確認されています。なお、計測には特殊な機器が必要です。

交配相手のオス犬を探す

 身近に交配相手となるオス犬がいる場合、料金は掛かりません。ただしオス犬もメス犬も初めての交配の場合はうまくいかないことがありますので飼い主の側で何らかの補助をする必要があります。

交配の基本パターン

 犬の交配は、オスとメスの血縁関係や犬種によってさまざまな呼び方があります。以下では代表的な交配方法を列挙しますが、こうした知識なしで闇雲に繁殖してしまうと、思わぬしっぺ返しを食うこともありますので要注意です。
代表的な犬の繁殖方法
  • インブリーディング  インブリーディング(in breeding)とは近親繁殖(きんしんはんしょく)のことで5代間に血縁関係のある交配を言い、さらに以下のようなサブクラスがあります。
    インセスチュアスブリーディング(incestuous breeding)は極近親繁殖のことで、親子間、あるいは兄弟姉妹間による交配のことを指します。ジャパンケンネルクラブにおいては血統書の発行拒否、もしくは条件付でのみ血統書が発行されます(繁殖研究の資料としてのみ必要な場合に限り、「警戒血統」という烙印を押して)。
    ラインブリーディング(line breeding)は系統繁殖(けいとうはんしょく)のことで、3~5代間に同一の犬が2度以上編入されていることをいいます。たとえば父方の曽祖父と母方の曽祖父が同じ個体などです。近交退化(きんこうたいか=近親交配によって出現するさまざまな難点)を防ぎつつ、ある特定の形質を維持することが主目的で、家畜繁殖の定番として広く行われています。
  • アウトブリーディング アウトブリーディング(out breeding)は異系繁殖(いけいはんしょく)のことで、5代間に血縁関係が無い交配のことを指します。雑種強勢(ざっしゅきょうせい=遠い遺伝子をもったもの同士の交配で免疫力などが強い子が生まれること)が主目的です。
  • インターブリーディング インターブリーディング(inter breeding)とは変種間繁殖(へんしゅかんはんしょく)のことで、同一品種内における変種同士を交配したものです。たとえば、マンチェスターテリアとトイマンチェスターテリア、ワイアヘアードフォックステリアとスムースフォックステリア、スムースダックスフントとロングヘアーダックスフントなどです。
  • アウトクロッシング アウトクロッシング(out crossing)とは異種繁殖(いしゅはんしょく)のことで、異なる2つの犬種を掛け合わせることを指します。正式名称ではありませんが、たとえばコッカースパニエルとプードルのコッカープーやチワワとダックスフントのチワックスなどです。

近交退化と雑種強勢

 近交退化(きんこうたいか)とは、近親繁殖の結果、生まれてきた子供に様々な欠点が生じてしまうことを言い、近交退化を招くような繁殖のことをオーバーブリード(overbreed)と呼びます。面白半分や暇つぶし感覚で無計画に繁殖をしてしまうと、具体的には以下に述べるような不利点を発現することがあります。
近交退化による短所
  • 生殖能力の低下
  • 耐性の低下
  • 体型の小型化
  • 男性形の減少・消失
  • 色素の異常
  • 歯数の異常
  • てんかん
 一方、雑種強勢(ざっしゅきょうせい)とは、同一動物種内のある特定の両親間から生まれた雑種の第一代目(F1雑種) が、両親よりも優れた特性を持って生まれてくる現象のことを言います。具体的には、病気や環境に対する抵抗性などを含み、ちょうど近交退化と真逆の概念と言えるでしょう。
平成20年度時点で、小売店の約30%ではミックス犬の取扱もある  ちなみに、平成20年6月に公正取引委員会事務総局が公表した「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」によると、ペットの小売業者317社のうち、約3割に相当する96社は、「必ずしも純血種だけを扱っているわけではない」と回答しています。この数字は、上記した雑種強勢や、「アレルギーになりにくい」というまことしやかな謳い文句が、ミックス犬人気に拍車をかけた結果のように思われます。
 なお、犬アレルギーの原因は、犬の唾液(だえき)やフケなどに拠るところが大きいと言われています。唾液やフケをまったくもたない犬は存在しませんので、必然的にミックスだろうが純血種だろうが、「絶対にアレルギーを起こさない犬」はまだいません。

種雄を探す

 相手が見つからない場合や、なるべく失敗せずに交配を済ませたい場合は有料で種雄(たねおす=有料で精子を提供するオス犬のこと)を探す必要があります。問合せ先は愛犬雑誌、ペットショップ、かかりつけの獣医師、ブリーダー、所属している犬種団体などです。身近な犬と交配させるにしても種雄と交配させるとしても、以下の点に注意しておくと後々後悔することは少なくなるでしょう。
オス犬選びのポイント
  • 遺伝的疾患の有無
  • 性格(人なつこい・縄張り意識が強い・独立心が強い・もの覚えがいい、など)
  • 容姿(歯並び・足のラインなど)
  • 遺伝子の相性(毛色によって相性の悪い掛け合わせがあるので要注意)
 なお遺伝病に関しては犬種によって特定の病気が関連していたり、毛色によって特定の病気が発症したりすることがあります。素人による一夜漬けの勉強ではカバーできない部分もありますので、そういう場合は専門家のアドバイスに従います。

交配前の準備

 メス犬の発情サイクルにあわせて交配日を決めます。有料の「種雄」と交配する場合はそれまでに料金等について詳細を詰めておきましょう。最低限以下の点は取り決めが必要です。
交配前の基本的な取り決め
  • 交配料金(こうはいりょうきん)  交配料金は相場がありませんので一概に言えませんが、ドッグショーのチャンピオンとなった犬の交配料金は高くなる傾向にあります。また現金で支払う場合もあれば、生まれた子供の一匹をオス犬の飼い主に交配料として支払う「子返し」というスタイルも慣習としてあります(子返しの場合でも「卵代」という名目で5000円ほどオス犬側に支払うのが慣例です)ので、 事前の取り決めが必要です。
  • 死産や流産だった場合  交配料金が「子返し」で、死産や流産だった場合は支払いようがありません。その場合現金払いにしてあくまで料金は発生するのか、それとも交配料金は支払わなくて良いのか、相手方と事前の取り決めが必要です。
  • 一匹しか生まれなかった場合  死産や流産だった場合と同様、一匹しか生まれなかった場合も「子返し」では支払いようがありません。生まれた一匹をどうしても返さなければいけないのか、それとも現金で交配料金を支払うのか相手方と事前の取り決めが必要です。また相手側が希望する性別の子犬が生まれなかったときも同様です。
  • 交配証明の発行  生まれた子犬を血統登録しようと考えている場合は、オス犬の飼い主から「交配証明書」(こうはいしょうめいしょ)を発行してもらう必要があります。この証書がないと血統書の作成ができませんので忘れずに依頼しておきます。
  • メス犬の準備  交配予定日は絶食(ぜっしょく)し、排便排尿を済ませておきます。また長毛種であれば肛門周辺の余分な被毛はカットしておくのがマナーです。飼い主がメス犬を押さえつけておく状況もあるため、口輪(くちわ)なども用意しておきます。
  • メス犬の滞在費用  通常、交配を行う場合はメス犬をオス犬の家に預けて行うのが普通です。その場合予定通りに交配が行われるとは限りませんので2~3日の余分な宿泊が必要となります。その際に発生する宿泊費や管理費は通常メス犬側が持ちます。おおよその費用を概算(がいさん)し、支払い等について相手側と事前の取り決めが必要です。

犬の交尾

オス犬はあごをメス犬の背に乗せ、 前足でメス犬の下半身を抱え込むようにしながらマウンティングを行います。  交尾前のオス犬とメス犬は、まず互いにじゃれつくようなしぐさをみせます。そして互いの臭いを嗅いだり舐めたりする交尾前行動の後、メス犬は立ったまま静止し、尾を左右どちらかにずらして準備が出来た事をオス犬に知らせます。
 メス犬の準備完了を見たオス犬は通常、あごをメス犬の背に乗せ、 前足でメス犬の下半身を抱え込むようにしながらマウンティング(乗駕, じょうが)を行います。その後オス犬は、腰を突き出すようにして膣内(ちつない)にペニスを挿入し、腰の前後運動と後ろ足での足踏み運動を行います。 尿道球腺が膨らんで通称「亀頭球」を形成し、膣内でペニスをロックします。 この一連の動きによってオスは亀頭球(きとうきゅう=尿道球腺が膨らんだもので、膣内でペニスをロックする働きがある)をメス犬の子宮付近に固定すると同時に大部分の精子を放出します。
 この段階ではペニスが膣内でロックされた状況にあるため(コイタルロック, coital lock)、無理にメスが逃げようとしたり飼い主が無理矢理リードを引っ張ってしまうと、怪我をしてしまう場合がありますので注意が必要です。
 その後は通常、オス犬が体を180度回転させ(ターン)、互いに背を向け合ったまま5~45分ほど繋がった状態をキープします(陰部結合)。 この段階では、残った精子や精子の流れを助ける前立腺液(ぜんりつせんえき)を放出していると考えられています。
陰部結合
射精後のオス犬は体を180度回転させ、互いに背を向け合ったまま5~45分ほど繋がった状態をキープします。  射精の終わった犬がお尻を合わせたまましばらくの間じっとしている状態を「陰部結合」(いんぶけつごう)と呼びますが、その意味についてはまだ十分に解明されていません。
 前立腺由来の体液を送り込むことで精子を流れやすくしているという説、および次に交尾するオスの精子との間になるべく長い時間差を置くことで、自分の精子がより卵子に到達しやすくするという説が有力です。
 交尾後のオス犬とメス犬は、自分の体を舐めて綺麗にし、通常は互いに性的な関心を失いますが、そのまま犬を一緒に置いて放置した場合1日に5回程度の交尾が繰り返される事もあります。
 オス犬もメス犬も特定の相手を好む傾向があり、共に暮らしている犬や小さな頃からなじみのあるいわゆる”おさななじみ”の犬しか受け付けぬメスもいるようです。一般的にはメス犬はぎこちない未経験のオスよりも、経験豊かなオスを好む傾向があります。
 哺乳類の中で一夫一婦制、すなわち1頭のオスが1頭のメスとしか交尾しないというシステムを有しているのは、わずか3%程度と言われています。犬の祖先種も一夫一婦制でしたが、長い年月を掛けてこの習性は薄らいでいきました。しかし完全になくなったわけではなく、交尾相手を選ぶ際、メス犬が見せるえり好みの中に、「最も気に入った1頭だけとつがえる」という生得的な一夫一婦制の感性を見ることができます。