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May 2009 NEWS TOPICS INFORMATION


若田光一宇宙飛行士がさいたま市立宮原中学校の後輩生徒たちと交信

 5月26日20:12、埼玉県さいたま市立宮原中学校でスクールコンタクトが実施され、若田宇宙飛行士と11名の後輩生徒が交信に成功しました。国内でのARISSスクールコンタクト成功は今回が33例目となります。

 宮原中学校は若田宇宙飛行士の出身中学校で、同校は現在1〜3学年で27学級、1,000名以上の生徒が就学している、さいたま市内でも有数の大所帯の公立中学校です。
 今回のスクールコンタクトは、同校の3年生から「宇宙に興味がある」「若田先輩に質問をしてみたい」「交信のようすを見学したい」という生徒を募集し実施されました。
 当日、会場となった同校会議室には18:30ごろから約60名の生徒や保護者が集まり、定刻の20:12を待ちました。

 宮原中学校のスクールコンタクトのようすを再現してみましょう。
 なお今回のスクールコンタクトに使用した社団局は、先に実施された「宮原小学校のスクールコンタクト」「大宮別所小学校のスクールコンタクト」と同様8J1KWで、コントロールオペレーターも、吉田徹弥さんがつとめました。

さいたま市立宮原中学校の
スクールコンタクト現場再現

定刻の20:12少し前から、マイクコントロールの吉田さんが、国際宇宙ステーション(NA1SS)の若田宇宙飛行士へのコールを開始しました。

吉田さん…『This is scheduled contact, NA1SS this is 8J1KW.さいたま市立宮原中学校より若田さん聞こえますか。どうぞ』

…………………………応答なし………………………………

吉田さん…『This is scheduled contact, NA1SS this is 8J1KW.さいたま市立宮原中学校より若田さん聞こえますか。どうぞ』

…………………………応答なし………………………………

吉田さん…『NA1SS this is 8J1KW. 若田さん聞こえますか。どうぞ』

…………………………応答なし………………………………

吉田さん…『NA1SS NA1SS this is 8J1KW.さいたま市立宮原中学校より若田さん聞こえますか。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『宮原中学校のみなさん、国際宇宙ステーションから若田です。よく聞こえています。こんばんはー。みなさんの質問にお答えしたいと思います。国際宇宙ステーションは今、「ゲナディ・パダルカ」コマンダー(ロシア)、アメリカの「マイク・バレット」フライトエンジニア、そして私JAXAの「若田光一」がフライトエンジニアとして3人で運用を軌道上でおこなっています。それではみなさん、質問をどうぞ』

質問1…『宇宙は空気や重力もなく、生活空間が地球とはまるで違う環境ですが、その中で一番驚いた現象とは何ですか。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『はい、船内は、重力は宇宙にも地球の周りにはあるんですけども、自由落下しているものが放物運動をして自由落下している状態ですので、中があたかも重力がない環境になっています。この重力環境で驚いたのは、やはり人間が数日から1ヶ月程度でこの無重力環境に完全に適用していけるってこと、これが本当にとても驚いた現象です』

質問2…『宇宙では重力がないので、上下の感覚がなくなると思いますが、上下の感覚とはどのような感じですか。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『そうですね。天井のところに座っても、壁のところに座っても、それが新しい床になるって感じですね。耳の耳石以外からのシグナル、つまり目から出てくるシグナルで上下を決定できるので逆立ちして移動したりすると、同じ空間の中でも新しい家の中に入ったような感じがします。どうぞ』

質問3…『宇宙空間で水をまくと、水は一瞬で散った後、氷として固まると聞きましたが、有機物を宇宙空間に放り出したとすると、有機物はどうなってしまうのかを教えてください。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『そうですね。有機物自体は、まぁそのままの化学組成を維持しますけども、生命体の場合たとえば、人間とか動物もそうですけども、宇宙空間に放り出されると、たとえば人間のような場合だったら、動物でもそうですけど15秒ぐらいで気を失ってしまいます。これは、血液の循環が真空に入ったとたんに止まるからで、気絶して、しかも体温の温度でもうすでに水が沸騰してしまうということで、15秒で気絶してしまうという非常に厳しい環境です』

質問4…『地球では暗闇に光を当てると、光は空間を帯状から末広がりに広がって進みますが、宇宙空間では光の筋はどのように見えますか。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『そうですね。光の筋が見えるのは太陽光線で、しかもそれが地球を照らしている太陽光線、たとえば朝とか夕方ってのは、雲の影の筋が長く伸びていますけども、それは直線を描いて進んでいるのがよく見えます。ですから地球で太陽の影を見るのとほとんど同じように見えています。どうぞ』

質問5…『地球では夜になると、光量が減少するため立体感が消えて、ビルは窓の光のみが平面上に浮かんで見えますが、宇宙空間で惑星を見るとどう見えますか。立体感はありますか。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『これは、すごくおもしろい質問だよね。金星とか、天体望遠鏡を持ってきていないので、金星など肉眼でよく見える惑星はよく見えて、とても明るいですね。まぁ、そういう惑星とか天の川とかが、非常にここから見ると三次元的に広がっているのがよくわかります。地球上にいるときよりもね。ですから、立体感というのは星空を見ていると本当に感じます。どうぞ』

質問6…『地球では昼より夜になるにつれ光量の減少により視野が狭くなり活動範囲が減少されますが、暗黒の闇である宇宙では視野は地球上とどう変わっているのですか。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『そうですね。おもしろい。視野自体は宇宙船の窓の広さとか、それからあと船外活動をする場合にはヘルメットから見える範囲で、その視野っていうのが決まってきますね。ただ人間自体が持っている視野っていうのは、地球上とほとんど変わらない感覚です。どうぞ』

質問7…『宇宙空間は空気がないので、光は直進し屈折率が地上と異なっていると思いますが、地球上での距離感とどんな違いが生じていますか。また、この距離感の変化は作業にどんな影響を与えていますか。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『これは非常におもしろい質問ですね。屈折率は真空と空気中では多少違いますけども、目に見えるほど屈折率の違いによって見え方が変わるってことはないです。で、たとえばこの船内のほうは1気圧の空気で満たされていますので、地上で見る距離感とほとんど変わらないです。どうぞ』

質問8…『生物は環境に合わせて進化すると学習しましたが、もし近い未来、人が宇宙で生活するようになったとすると、人の感覚器の中でどの部分が一番宇宙への適応変化を起こしやすいと考えますか。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『そうですね。これはやはり無重力ですと耳石の働きってのが地球上のような働きをしないわけですね。重力で引かれないので目を閉じたとき、どっちが上でどっちが下かってのがわかんなくなる。ですから、たとえば耳石みたいな耳の前庭だとか三半規管、そういったところが宇宙で生きていくときに進化していくんじゃないかなというふうに思います。どうぞ』

質問9…『今まで宇宙飛行士になるためにとてつもない努力をしてきたと思いますが、今、若田さんが宇宙に行ってみて「本当に今までがんばってきてよかった」と思えるくらい宇宙はきれいですか。その魅力を教えてください。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『そうですね。宇宙は本当に暗黒ですね。で、星空はきれいですけども、それと同時にやはり一番心に残る印象、景色って言うのは青い地球ですね。青いオアシスのような地球を見ながら、本当にこのすばらしい宝石のように輝く地球を見て、地上のみなさんと一緒に仕事ができて、それが世界各国の人たちと一緒に仕事ができてるってこと、この瞬間を本当にここまでつらい訓練をしてきて、がんばってきてよかったなという風に思える瞬間だと思います。どうぞ』

前問で当初の予定質問9問を終了しました。マイクコントロールの吉田さんは、さらに2名の生徒が当日考えた新たな質問を継続する旨を、若田宇宙飛行士に伝えています。
吉田さん…『若田さん、ここからは予定質問ではありませんが、少し時間があるようなので質問を続けさせていただきます』

質問10…『地球はすごい速さで回っているので、宇宙から地球に着陸するとき、着陸地が見えたときに着陸地に向かったら間に合わないと思うのですか。どうやって着陸をするのですか。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『はい、そうですね。スペースシャトルや、ソユーズ宇宙船、僕たちが地球に帰還するときに使う宇宙船ですけども、宇宙ステーション自体も時速28,000kmで飛んでいるんですね。ですから、だいたい目的地の着陸地、アメリカのフロリダですとか、ロシアの南のほうのカザフ共和国、そういったところから地球の反対側ぐらいから逆噴射をしてスピードを落として大気圏に入って着陸するようにしています。どうぞ』

質問11…『宇宙でも地球上と同じように、場所によって時差があるのですか。どうぞ』

若田宇宙飛行士…『えーっとねー、僕たちが使っている時間はグリニッジ標準時です。イギリスの時間ですね。それで毎日生活しています。ですから、いまもこちらは11:20ぐらいですけども、宇宙船の中ではその時間を使っていますので、時差ぼけとかはありません。どうぞ』

吉田さん…『NA1SS this is 8J1KW. これで全部の質問が終わりになります。若田さん、今日はお忙しい中ありがとうございました。若田さんのミッションの成功と、健康を生徒一同お祈りしています。NA1SS this is 8J1KW. ありがとうございました』

若田宇宙飛行士…『8J1KW this is NA1SS. どうもありがとうございました。宮原中学校のみなさん、宮原のみなさん、本当にみなさんとお話ができて懐かしい感じがします。また、これから後はみなさんと宇宙での体験についてお話させていただきたいと思います。それではみなさん、夢に向かって、目標に向かってがんばってください。失礼しまーす』

吉田さん…『ありがとうございました』

……………… 場内に歓声、拍手 ………………

 今回のスクールコンタクトは、中学校3年生との交信ということもあり、「小学生の素直な感性による素朴な疑問を中心」におこなわれた、宮原小学校、大宮別所小学校の児童たちの質問内容に比べて、かなり具体性を持った、質問生徒の「宇宙や科学に対する知的好奇心」が、大いに感じられる質問が多かったようです。

 無事交信が終了。会の終了に際して横田守正校長は「はい、今、思わず拍手が出ましたけれども、非常に感動的な場面を目にすることができました。非常に質問内容も中学生らしくてよかったなぁと思います。これをぜひ、最後に若田さんが言ったように、夢につないでほしいと思っています」と、今回参加した生徒たちに向けて語っています(写真右)。

(5月27日)






「電波のルールを守りましょう」
 平成21年度電波利用環境保護周知啓発強化期間

 総務省は、「電波のルールを守りましょう」「みんなで守る電波のルール」をキャッチ フレーズに、平成21年6月1日(月)〜10日(水)の間を、平成21年度の電波利用環境保護 周知啓発強化期間として、周知・啓発活動を集中的・重点的におこないます。
 電波の利用のルールを守らないと社会的に悪影響が大きいことを周知することにより、 正しく無線局を運用している電波利用者を、不法無線局による混信その他妨害等から保護 することを目的とするものです。

 期間中、電波利用環境保護に関する周知・啓発のためのCM放送や広告をはじめ、 駅・車内吊りのポスターの掲示、リーフレットの配布、電波監視施設の 一部の公開や、電波教室の開催などが予定されています。

 また不法無線局の対策については、平成21年6月1日(月)〜30日(火) を取締り強化期間として設定し、重点的に実施します。
 総務省では本期間を中心に、不法無線局の取締りを強化することにより、良好な電波利 用環境の整備を推進していくとしています。

(5月21日)






7MHz帯拡大記念!10局の特別記念局(8J140M〜8J040M)が
  各エリアで5月16日運用スタート!!

 JARLでは7MHz帯の拡大を記念して、5月16日から7月20日までの間、プリフィックスが8J、サフィックスが40Mの特別記念局を各地方本部エリアごとに開設し、7MHz帯の拡大を国内外にPRし、7MHz帯とアマチュア無線の活性化を推進します(8J140M〜8J040M)。
 なお、この記念局では各局がそれぞれ異なった記念QSLカードを発行いたします。運用面では各地方本部単位でそれぞれのスケジュールにもとづいて運用されます。
 JARL会員のみなさんは各エリアの記念局との交信を通じて、またこの特別記念局を運用して、全国のハム仲間と友好親善を深めていただきたいものです。

 さらに、7月10日から20日にかけては、この特別記念局運用に加えて、「7MHz帯拡大記念QSOパーティー」を、JARD(日本アマチュア無線振興協会)、CQ出版(株)およびJAIA(日本アマチュア無線機器工業会)の協賛で開催します。
 この記念QSOパーティーでは、開催期間中に拡大された7,100〜7,200kHzの周波数を使用し、部門ごとのルールに沿った形で交信を楽しんでいただきます。
 なお、記念QSOパーティーに参加して、ログやサマリーを提出いただいたJARL会員の中から抽選で、すばらしい賞品をプレゼントいたします。

 みなさんもこの機会にぜひ、拡大となった7,100〜7,200kHzでのアクティブな運用に挑戦してみてください。

※7MHz帯拡大記念QSOパーティーの詳細はこちら
http://www.jarl.or.jp/Japanese/1_Tanoshimo/1-1_Contest/7qp/7qp.htm

※各地方の局の運用情報は「平成21年度JARL特別局および特別記念局の開設状況」のリンクページでお調べください。
http://www.jarl.or.jp/Japanese/2_Joho/2-6_stations/es-sta_list.htm

(5月15日)






若田光一宇宙飛行士がさいたま市立大宮別所小学校(卒業校)の後輩児童と交信



 5月11日20:02、埼玉県さいたま市立大宮別所小学校でスクールコンタクトが実施され、若田宇宙飛行士と11名の児童が交信に成功しました。

 大宮別所小学校は、4月2日にスクールコンタクトに成功した「宮原小学校」(1〜4年在籍)と同様、若田宇宙飛行士の出身小学校の一つで、若田宇宙飛行士は、5年の時に宮原小学校から分かれて新設された「大宮別所小学校」に移り、2年後同校を卒業しています。右の写真は、大宮別所小学校の校庭の壁面に描かれた壁画で、若田宇宙飛行士が1996年にスペースシャトル・エデンバー号に初搭乗した際に、後輩児童たちによって描かれたものだそうです。出身校ならではの、ほのぼのとした光景と言えるでしょう。

 会場となった同校体育館には、19:00ごろから続々と見学の児童が保護者同伴で来場し、約800名の児童および保護者たちや、若田宇宙飛行士の母親の若田タカヨさん(実はアマチュア無線の従事者資格を所持されているとのことです)も会場に駆けつけて、代表で質問する11名の児童と若田宇宙飛行士との交信を見守りました(写真右)。

 ちなみに、同校在籍の児童は約800名だそうで、当日は全校の約半数の児童および各世帯の保護者の方々ほかが、この記念すべき交信を見守ったことになります。

 定刻の20:02、コントロールオペレーターの吉田徹弥さんが国際宇宙ステーションのNA1SSをコールすると(今回のスクールコンタクトに使用した社団局は、宮原小学校のスクールコンタクトと同様8J1KW)、一発で強力かつクリアなシグナルで、

「別所小学校のみなさん、こんばんは!国際宇宙ステーションの若田光一です」

と応答があり、その後、11名の児童が順番に12問の質問をおこないました。

 若田宇宙飛行士は、後輩児童たちの質問に丁寧かつわかりやすく答えてくれて、交信終了後、場内には大歓声が響き渡りました。

 なお、国内でのARISSスクールコンタクト成功は今回が32例目となります。

 また、5月中には兵庫県川西市立清和台南小学校(国際宇宙ステーション側の無線機設定のミスにより4月に残念ながら失敗のため再スケジュール)、および若田宇宙飛行士の出身中学校である「さいたま市立宮原中学校」の生徒と、若田宇宙飛行士のスクールコンタクトが予定されています。

(5月12日)






横浜開港150周年記念8N1Y(特別局)運用中

 横浜市では、横浜開港150年周年を記念して開国博Y150を2009年4月28日〜9月27日の間開催し、市内各地で数々の楽しいイベントなどが繰り広げられています。

 この開国博Y150の開催を記念して、JARLでは記念局8N1Yを開設し、神奈川県支部のメンバーが中心となって運用をおこなっています。8N1Yは4月1日から、移動する局の運用を開始していましたが、4月27日から市内に移動しない局も開設し運用を開始しました。

 特別局8N1Yのシャックの大変ユニークな点は、市の許可を得て市内の大岡川河口付近(横浜市中区本町6丁目、JR・横浜市営地下鉄桜木町駅、および横浜高速鉄道馬車道駅近く)の駐車場付近に開設されている点で、これも市の協力のもとで「廃車された大型ワゴン車2台」をシャックにしつらえているのです。2台の大型ワゴン車は特別局の運用終了後、スクラップとなることが決まっていることから、運用の記念として車体に自分のコールサイン等を記して行くのも自由とのことです。
 横浜市の「ユーモアに富んだ協力」があってこそ実現できた、「市を挙げて開催されている大イベントならではの、これまで前例のない形の記念局」と言えるでしょう。

 なお、8N1Yのアンテナは駐車場の今は使っていない照明設備の柱などを使用して設置していますが、これは特別局の開設に際して、市から特別に許可を受けておこなっているものです。通常は無断でこのような設置をすることは禁止されていますので、くれぐれもご注意ください。

 4月27日、この移動しない局の開局に際しては、横浜市の幹部の方や、原会長をはじめ、根本関東地方本部長、伏見神奈川県支部長他プレスの方々も含め多数参列のもと賑々しく開局式が執りおこなわれました。

 開局式では、原会長の第一声に続いて、その後、ジュニアオペレーター3人に交代し、多数のアマチュア無線局の方々と交信をおこないました。

 前述のとおり、8N1Yの運用は9月27日の開国博Y150の閉幕まで続きます。
 移動しない局の運用は、毎日おこなわれる予定です(実行委員会のWebサイトで事前に確認してください)。運用を希望されるかたは、無線従事者免許証とJARL会員証を持参してお出かけください(運用希望者多数の場合はご希望に添えない場合もあります)。

 また、横浜開港150周年記念8N1Y(特別局)がお空で聞こえていましたら、ぜひコールしてください。

(5月7日)





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