ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

Windows XPはダウングレード権で存続――MSは正しい選択をした

» 2008年06月24日 15時28分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftは6月23日、Windows XPの販売打ち切りについて顧客に正式に通知した。

 Microsoftのオンラインサービス&Windowsビジネス部門担当上級副社長のビル・ベット氏は顧客にあてた文書において、OEMへのWindows XPの販売を6月30日で終了する方針をあらためて確認している。一部では販売期限の延長を求める動きも広まっていたが、実現には至らなかったようだ。よかった。以前にも書いた通り、どのみちMicrosoftはOEMチャネルからXPをすぐに排除することなどできないのだから。

 ただしWindows XPの提供は今後もほそぼそと続けられることになりそうだ。システムビルダーは同OSの出荷を2009年1月31日まで続けられるからだ。システムビルダー各社はMicrosoftの正規販売代理店から同ソフトウェアを入手することになる。さて、ここで興味深いのは次の点だ。ビルの文書には、「この選択肢は大手OEMも含め、すべてのOEMに与えられる」と書かれている。

 わたしが以前に説明した通り、そしてビルが今回の文書で確認している通り、企業にはダウングレード権行使の選択肢が2パターン提供されることになる。いずれも、Windows XPのリリース時に提供されたのと同様のダウングレード権だ。ボリュームライセンス契約を結んでいる顧客はPCにプリインストールされたVistaをXPにダウングレードできる。さらにビルは文書で、DellやHPが提案しているダウングレード権行使の方法にも言及している。

 「一部のOEMパートナーは、Windows Vistaのボリュームライセンス契約を結んでいる企業顧客向けに、新規PCでのダウングレード権行使を支援するサービスの提供を計画している。この選択肢には大きな価値がある。なぜなら、今はまだWindows XPが必要ということであれば、新しいPCで取りあえずWindows XPを使っておいて、後で準備が整ってからWindows Vistaに移行し、その追加機能を活用することが可能だからだ。その際、アップグレード料金を支払う必要はない」

 確かにITマネジャーの中には、これを「大きな価値」ととらえる向きもいるかもしれない。「お粗末なVistaなど使いたくない」という理由からだ。

 ビルはXPについて多くの企業が抱いている重要な疑問にも答えている。その疑問とは、「MicrosoftはWindows XPのサポートを続けるのか」というものだ。ビルの答えはこうだ。

 「Windows XPについては、セキュリティアップデートなど重要なアップデートを2014年4月まで提供する。Windows XPのサポートを継続することにしたのは、ユーザーがWindowsベースのPCを何年間も使い続けているという現状を認識した結果であり、すべての顧客に最高レベルのサポートを提供したいというわれわれの姿勢の現れでもある」

 なお、「告白は心を安らげる」ということわざがあるが、ビルは次のように告白している。

 「Windows Vistaのセキュリティと回復力(レジリエンス)を強化するためにアーキテクチャに加えた変更の影響で、既存のハードウェアやアプリケーションとの相互運用性に問題が生じ、多くのハードウェアドライバやアプリケーションでアップデートが必要となった。Windows Vistaのリリース時までには大半は問題なく機能するようになったが、一部の主要なアプリケーションやドライバでは対応が間に合わなかった」

 企業の中には、依然として相互運用性の問題を抱えているところもあり、そうした企業は当然ダウングレード権を行使することになるだろう。ただし希望はある。

 「Adobe ReaderやiTunesといった無償のダウンロードプログラムには、Windows Vistaに最適化されたバージョンもある。非常に古いデバイスを除けば、相互運用性やドライバの問題は既に大半が解消されており、顧客もユーザー体験の大幅な改善を実感しているはずだ」

 ビルはさらにこの文書でWindows Vista Service Pack 1(SP1)のメリットをアピールしているが、Vistaの後継版「Windows 7」については何ら新しいことは語っていない。残念ながら、彼はまだWindows 7のリリース予定日を明らかにするつもりはないようだ。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.