平成18年6月7日、第164回国会において、「証券取引法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第65号)及び「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(同第66号)が可決・成立し、6月14日に公布されました。 これらの法律は、第38号で紹介した金融審議会金融分科会第一部会報告「投資サービス法(仮称)に向けて」(平成17年12月22日)を受け、証券取引法を改組して「金融商品取引法」(いわゆる投資サービス法)とする等の法整備を行うものです。これにより、金融・資本市場をとりまく環境の変化に対応し、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、貯蓄から投資に向けての市場機能の確保及び金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目指しています。 この法整備の具体的な内容は、大きく分けて、 |
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の4つの柱からなります。また、これらの内容については、「包括化・横断化」、「柔軟化(柔構造化)」、「公正化・透明化」及び「厳正化」がキーワードになります。 今号から3回にわたって、今回の法整備の内容を紹介します。 また、証券取引法等の一部を改正する法律のうち、開示書類の虚偽記載等及び不公正取引の罰則の強化等に係る規定については、公布の日から起算して20日を経過した日である平成18年7月4日に施行されました。これらの規定の施行に伴い、証券取引法施行令(昭和40年政令第321号)等を改正し、所要の規定の整理を行った内容を後半で紹介します。 |
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(1) | 「証券取引法」から「金融商品取引法」へ | ||||||||||||||||
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(2) |
規制対象商品の拡大 近年、金融技術の進展等を背景として、証取法その他の既存の利用者保護法制の対象となっていない金融商品が出現しており、利用者被害が生じている事例もみられます。金商法では、こうした既存の利用者保護法制の「すき間」を埋める観点から、次のように、規制対象商品の拡大を図っています。 |
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(3) |
規制対象業務の横断化 現行の証取法は、有価証券・デリバティブ取引に関する「販売・勧誘」業務を「証券業」と位置づけ、基本的に登録制により規制しています。金商法では、現行の縦割り業法を見直し、現行の証券業のほか幅広い業務を「金融商品取引業」と位置付け、登録制により横断的に規制することとします(金商法2条8項、29条)。 |
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(4) |
業務の内容に応じた参入規制の柔軟化 金商法においては、前述(3)のように金融商品取引業を登録制により横断的に規制する一方で、業務内容の範囲に応じて金融商品取引業を区分し、各区分に応じて、例えば個人による参入の可否や財産的基礎要件など、参入規制(登録拒否要件)を定めています(金商法29条の4)。 金融商品取引業者が、その行っている業務とは異なる区分の業務に参入しようとする場合は、変更登録の手続を受ける必要があります(31条4項)。 |
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次号では、今回の法整備による「(1)いわゆる投資サービス法制の構築」のうち、業者が遵守すべき行為規制の整備 (5) 顧客の属性に応じた行為規制等の柔軟化 (6) 投資性の強い預金・保険等の取扱い (7) 利用者保護のためのその他の制度整備 について紹介します。 |
先の第164国会において成立(公布日 平成18年6月14日)した証券取引法等の一部を改正する法律(平成18年法律第65号。以下「改正法」といいます。)のうち、開示書類の虚偽記載等及び不公正取引の罰則の強化等に係る規定については、公布の日から起算して20日を経過した日である平成18年7月4日に施行されました。これらの規定の施行に伴い、証券取引法施行令(昭和40年政令第321号)等を改正し、所要の規定の整理を行いました。 政令の主な改正の概要は以下のとおりです。なお、今回の改正は、いずれも、上述の規定の施行に伴い、当然必要とされる規定の整理及び形式的な変更に係るものです(いわゆる「ハネ改正」)。 |
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(1) |
安定操作取引(証券取引法施行令第20条第1項、第21条) 従来、証券取引法では、相場操縦行為やその一形態である安定操作取引では、有価証券の売買等、その委託等及び受託等が規制の対象とされていましたが、改正法では規制の対象として新たに有価証券の売買等の申込み行為(いわゆる「見せ玉」)を追加しました(改正法第159条第2項第1号、第3項)。 上記のうちの安定操作取引に係る規定の改正(改正法第159条第3項)に伴って、証券取引法施行令における、安定操作取引をすることができる場合等に係る規定について、対象行為(同規定の要件を充たす場合のみできる行為)に有価証券の売買等の申込み行為を追加しました。 |
(2) |
証券取引等監視委員会への取引等の公正の確保に係る検査等以外の検査等の権限の委任(証券取引法施行令第38条の2第1項) 従来、証券取引法では、内閣総理大臣が公開買付け等に関する報告・資料提出命令等の権限を行使できる対象者は、公開買付け者又はその特別関係人その他の関係者とされていましたが、改正法では、この対象者の範囲を拡大し、参考人を追加しました(改正法第27条の22第1項、第2項)。 これに伴って、証券取引法施行令における、証券取引等監視委員会への権限の委任に係る規定について、同規定が掲げる権限の対象者に参考人を追加しました。 |
(3) |
犯則事件の範囲(証券取引法施行令第45条) 証券取引法上の、開示書類の虚偽記載等及び不公正取引に係る罰則を強化することに伴って、証券取引等監視委員会の職員が質問・検査等を行うことができる犯則事件の範囲についての規定の整理(「条番号のズレ」の整備)を行いました。 |
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今回の改正は、改正法の一部の施行に伴い、当然必要とされる規定の整理及び形式的な変更に係るものであるため、同法に定める意見公募手続(パブリックコメント)は実施していません(行政手続法第39条第4項第8号)。 |
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詳しくは金融庁ホームページの「報道発表資料」から「証券取引法施行令の一部を改正する政令について」(平成18年6月23日)にアクセスしてください。 |