自然環境・生物多様性

象牙等はルールを守って取引しましょう!

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アフリカゾウの保全及び象牙取引に関する我が国の考え方と取組み

 野生生物は、生態系の重要な構成要素であるだけでなく、人類の豊かな生活に欠かすことのできないものとして、貴重な資源として利用されてきました。私たちは、野生生物を絶滅させることなく、持続可能なかたちで利用しながら、将来にわたって次世代に引き継いでいかなければなりません。

 象牙についても、我が国ではこれまで、歴史的・文化的に、古くは根付、印籠、櫛、箸などの日常的な生活用品、近代では印鑑、和楽器などの原材料に利用されてきましたが、これらの象牙はアフリカ諸国等からの輸入によってもたらされてきました。

 しかし、アフリカゾウは、密猟と象牙の違法取引によってその個体数を大きく減らした時期があります。このため、1990年にワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の下で象牙の国際取引は原則禁止となりました。一方で、同条約では、締約国の会議における決議などにより、野生動植物の持続可能な利用に基づく合法的な取引によって得られる収益は、違法な取引の阻止や野生動植物の保全のための資金を提供し得るとの考えが示されており、アフリカゾウの持続可能な利用ができなくなることは、その保全にも悪影響がでることが懸念されます。

 日本では、象牙等の国際取引を規制するワシントン条約の実効性を高めるために、1992年に「種の保存法」を制定し、その後の改正により、違法な象牙の国内取引を防止するための管理制度の創設を行い、その適切な運用に努めてきました。

 こうした取組みの結果、1999年と2009年には、生息が安定し絶滅のおそれの少ない個体群と位置づけられている南部アフリカ諸国のアフリカゾウのうち、自然死した個体などから集められた象牙が、条約の締約国の会議における決定に基づき、厳正な管理の下で日本に輸入されました。これらの象牙については、速やかに種の保存法に基づく登録等の手続きが行われ、国内における取引も厳格に管理されています。この輸入から得られた収益は、条約に基づくルールに従い、全て、アフリカゾウの保全と生息地や隣接地に暮らす地域住民の開発計画のために使われています。

 今後もアフリカゾウの保全を図りつつ、その持続的な利用を可能とするために、合法的に輸入された象牙のみが国内で適正に取引され、それらが厳正に管理されることが重要です。一人一人がルールを守ることが、違法取引を防ぎ、アフリカゾウをはじめとする野生生物の保全につながります。

※こうした日本の取組みや考え方については、「日本のアフリカゾウ保全及び象牙取引についての見解」として、2016年1月のワシントン条約第66回常設委員会で公表しています。

"View of Japan regarding Conservation of African Elephants and Trade in Ivory"(外部リンク)

「日本のアフリカゾウ保全及び象牙取引についての見解」(訳)[PDF 91KB]

象牙の取引に関するよくある質問(FAQ)

象牙の取引に関するよくある質問(FAQ)はこちらをご覧ください。 [PDF 663KB]

象牙の取引制度

[1] 牙・磨牙・彫牙等(全形を保持した象牙)

 生牙(原木)、磨牙、彫牙など、全形を保持した象牙は、『種の保存法』で譲渡し等(売買等)が原則禁止されています。

  • 『種の保存法』は、国内外の絶滅のおそれのある野生生物を保護する法律です。
  • 『種の保存法』の規制対象種については、以下のリンク先を御確認下さい。
  • 譲渡し等の規制対象には、生きているもののほか、標本、剥製、器官(毛皮、全形を保持した象牙等)、加工品も含まれます。

 全形を保持した象牙のうち、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)で規制される前に取得されたもの等は、登録を受けることが可能です。また、登録番号を示した上での広告(オークションサイト等への出品を含む)と、登録票を伴う譲渡し等が可能です。

 ただし、登録票は輸出の際に規制前取得を証明する目的では使用できません([3]を御参照下さい)。

 

 令和元年(2019年)7月1日(月)から、全形を保持した象牙の登録審査をより厳格化します。

 具体的には、規制適用日以前に適法に所有したという自己申告の裏付け証明について、「第三者の証言」のみでの登録を認めず、「第三者の証言」及び「第三者の証言を裏付ける補強(全形牙の放射性炭素年代測定法による年代測定結果等の客観的に証明できる書類)」を求めることとします。

 第三者の証言を裏付ける補強を放射性炭素年代測定結果による場合について、個体等登録申請者向け及び測定機関向けに、留意事項等をまとめたお知らせを作成しました。

 「象牙全形牙の登録のため、放射性炭素年代測定をされる登録希望者のみなさまへ」

 「象牙全形牙の放射性炭素年代測定を受け付ける機関のみなさまへ」

種の保存法全般に関するお問い合わせ先
環境省 自然環境局 野生生物課
電話:03-3581-3351(代表)
種の保存法の解説
登録の手続きのお問い合わせ先
個体等登録・認定機関 (一財)自然環境研究センター
電話:03-6659-6018
リンク(一財)自然環境研究センター)

[2] 象牙のカットピース、端材、印材、製品等

 業として、象牙のカットピース、端材、印材、製品を取り扱う(有償、無償を問わない)事業者(法人及び個人)は、あらかじめ『特別国際種事業』の登録が、タイマイの端材、背甲を取り扱う(有償、無償を問わない)事業者(法人及び個人)は、あらかじめ経済産業省へ『特定国際種事業』の届出が必要です。

 上記事業者は取引記録(記載台帳)への記載と保存が必要です。台帳の保存期間は5年です。また、環境大臣及び経済産業大臣にご提出いただく場合があります。

 環境省及び経済産業省が特別国際種事業や特定国際種事業に関し、報告を求めたり施設への立ち入りや書類等の検査を行う場合があります。

*個人であっても象牙のカットピース、端材、印材、製品等を反復継続的に取引(有償、無償を問わない)をする場合、特別国際種事業に該当する可能性があるのでご注意ください。

[3]「種の保存法」改正等による象牙の国内市場の管理強化について

 平成29年6月2日に、象牙の国内取引規制の強化を含む「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)の改正法が成立し、平成30年6月1日に施行されました

 改正の具体的な内容は、以下のとおりです。

ア)象牙製品等の製造販売事業について、現行の届出制を登録制に変更。登録申請には審査があること、5年毎の更新制とすること、法令違反により登録が取り消された場合は、その後5年間再登録不可となること。

イ)事業者が所有する全形牙の登録の義務化。

ウ)象牙のカットピース等の管理票作成を義務化。

エ)象牙製品等の広告・販売時の登録番号等の表示の義務化。

オ)事業者登録簿の公開。

カ)象牙取扱事業者に対する罰則の強化(懲役刑の新設、罰金の引き上げ)。

事業者向けに、改正内容に関する説明会を開催しました。[PDF 167KB]

説明会で使用した資料(※)は、以下よりご覧ください。

また、改正種の保存法における象牙等に関するQ&Aを以下にまとめています。以下よりご覧ください。

(※)説明会で使用した資料に一部に誤記があったため、うみがめ科の甲に係る管理票・標章の事項及びその他軽微な修正をしております。

改正種の保存法に関する概要~象牙等取扱事業者向け~

改正種の保存法における象⽛等に関するQ&A

[4]象牙製品等の海外取引(輸出入)について

 ワシントン条約附属書掲載種に係る製品(象牙等)の海外取引を行う場合は、事前に経済産業省(野生動植物貿易審査室)までお問い合わせください。

象牙製品等の海外取引に関するお問い合わせ先
経済産業省 貿易経済協力局 貿易管理部 野生動植物貿易審査室
電話:03-3501-1723
リンク(経済産業省 貿易管理)

適正な象牙取引の推進に関する官民協議会

概要

 象牙及び象牙製品の取引について、官民をあげて幅広い関係者の知見を結集し、適切な制度運用をこれまで以上に徹底するとともに、国内外への情報発信など、様々な観点から、更なる取組みを進めていくことを目的として、平成28年5月に設置されました。

「適正な象牙取引の推進に関する官民協議会」の第1回開催について

過去の協議会の開催結果

 議事要旨及び配布資料(リンク:経済産業省)

その他

 「適正な象牙取引の推進に関する官民協議会」の報告書の公表(平成28年9月)

 「製造事業者向け講習会の開催について(平成29年1月)」

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