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病気腎で肝炎感染死か 因果関係初の見解 調査委が最終報告 市立病院 万波医師を批判 2007年04月30日(月)

病気腎移植の妥当性などに関する最終報告書を市立宇和島病院の市川幹郎院長(左)に渡す調査委員会の深尾立委員長=29日正午ごろ、宇和島市御殿町の同病院

 宇和島徳洲会病院の万波誠医師(66)による病気腎移植問題で、同医師が二〇〇四年三月末まで勤務していた市立宇和島病院の調査委員会(委員長・深尾立千葉労災病院長)は二十九日、同病院で実施された病気腎移植、非親族間移植の妥当性に関する最終報告書を市川幹郎院長に提出。病気腎移植患者一人の死因について「持ち込みB型肝炎ウイルスによるものだった可能性は否定できない」と同移植との因果関係に踏み込む見解を初めて示した。
 報告書では、二〇〇〇年十二月、B型肝炎ウイルス検査に陽性反応を示したネフローゼ症候群患者の腎臓を移植した患者が約半年後に死亡したケースについて「死因は肝障害と重症膵(すい)炎」と言及。深尾委員長と専門委員会の野村芳雄委員長(大分大名誉教授)は「B型肝炎ウイルスに感染する機会はほかになく、おそらく移植時に持ち込まれた。医療行為と言えない。絶対に行うべきではなかった」と強く非難した。
 同病院での病気腎摘出・移植への医学的適否は、摘出二十件については腎がんなど十四件を不適切▽尿管狭窄(きょうさく)など二件を容認または条件付きで容認▽尿管がん四件を妥当―と判断。移植二十五件では、腎がんやネフローゼ二件など十四件を不適切▽腎血管腫(しゅ)など四件を容認▽ネフローゼ四件は「重大な問題がある」としつつ、経過観察が必要―とした。
 また、病気腎移植や非親族間移植(十件)の倫理や手続き面を、米国が定めた研究的治療の倫理指針「ベルモント・レポート」に準拠し判断。患者の意思確認が不十分な点などを挙げ「基本原則である人格尊重への配慮が欠けていた」とし、万波医師が倫理問題や学会倫理指針に全く関心を払わなかったと批判した。
 病院側の責任にも触れ、職員が規則の解釈を誤りカルテを誤廃棄した点を「正当な処理であれば大半は現存していた」と指摘。「慎重な計画もなく万波医師の判断のみで病気腎移植が繰り返され、院内から慎重に検討すべきとの意見が全く出なかったことは組織として大いに反省すべきだ」と言及した。
 深尾委員長は病気腎移植を「通観すると全体として不適切」とし、非親族間移植を「倫理面で当然守るべき体制が整っておらず、行ってはならなかった」と結論付けた。
 市川院長は「カルテ管理の見直しや診療方針などについて誰もが意見を言える体制づくりなど、早急に病院の立て直しを図らなければならない」と述べた。
 万波医師は「調査委の結論は真摯(しんし)に受け止め、手続きを踏んでいなかった点は十分反省している。だが、B型肝炎ウイルスに関する調査などでは不満な点も残る」としている。