156-参-予算委員会-9号 2003年03月11日

156-参-予算委員会-9号 2003年03月11日

日本共産党の大門実紀史です。  最初に、坂井衆議院議員の問題についてお聞きをいたします。

○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 最初に、坂井衆議院議員の問題についてお聞きをいたします。
 坂口厚生労働大臣にお聞きいたしますけれども、坂井議員と関係のあった人材派遣会社でありますが、日本マンパワー、アデコキャリアスタッフ並びにアデコキャリアスタッフ九州、そして旧キャリアスタッフ、この四社への補助金、委託助成金の各社ごとの過去五年間の総額を教えていただけますか。

○国務大臣(坂口力君) お尋ねの四社に対しまして支給しております助成金についてでありますが、現在把握できている範囲でお答えをさせていただきたいというふうに思いますが、まず派遣労働者の雇用管理に必要となるいわゆる研修費用を派遣元の事業主に対しまして助成する派遣労働者雇用管理研修助成金がございますが、これは過去五年間で旧キャリアスタッフ社に合計で十四万円、それからアデコキャリアスタッフ社に対しまして合計で四十二万一千円を支給いたしております。
 それから、高齢者や障害者等、特に就職が困難な者を雇い入れた事業主に対しまして賃金の一部を助成いたしますところの特定求職者雇用開発助成金がございますが、これにつきましては過去五年間で日本マンパワー社に合計九十四万七千円を支給いたしております。
 また、労働者が育児休業を取得する場合に代替要員を確保した事業主に対しまして一定額を助成することになっておりますが、その育児休業代替要員確保等助成金につきまして、過去五年間で日本マンパワー社に合計二十万円を支給しているところでございます。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 四社とも国から助成を、助成金を受けていたということだと思います。
 委員長、資料の配付をお願いしたいと思います。
   〔資料配付〕

○大門実紀史君 今お配りいたしておりますが、我が党が調べたところによりますと、この人材派遣会社から坂井議員への献金は、報道で言われています一億二千万の裏献金以外に、政治資金規正法に基づく表の献金といいますか、それも行われております。
 今資料をお配りいたしておりますけれども、先ほど申し上げました四社以外に、今調べている最中で判明した分だけですけれども、お手元にあるように、アデコキャリアスタッフ九州は、九九年から二〇〇一年までで二百二十万円献金をしております。日本マンパワーは、二〇〇一年ですが、百万円と。ちなみに、小野会長も三年間でいきますと五百万円の献金をされておりますし、古賀社長も百万円の献金をされております。
 坂口大臣にお聞きいたしますけれども、こういう国から助成金を受けている企業の政治献金というのは法に触れると思いますが、いかがですか。

○国務大臣(坂口力君) 今ちょっと御質問の趣旨が十分に分かりませんでしたが、私の方の厚生労働省の関係のことでございましょうか。

○大門実紀史君 御存じなければ私の方で説明いたします。
 こういう国から助成金を受けている会社が献金をやるというのは、政治資金規正法二十二条の寄附の質的制限というのに引っ掛かるわけです。国から助成金を受けているところが政治献金をするというのは認められていないということなんですけれども。
 私は、坂井議員がこの助成事業にも大きな役割を果たしたんではないかというふうに疑惑を持つわけですけれども、坂口厚生労働大臣、厚生労働省として調査をされるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(坂口力君) 先ほど挙げましたものにつきましては、これはいずれも事務的にすべて処理しておるものでございますから、政治的に左右されるものではございません。したがいまして、先ほど挙げましたものにつきましては事務的に処理されたというふうに思っておりますが、全体につきましては、私たちも誤りがあってはならないわけでございますから、振り返ってチェックすべきところはチェックをしたいと思っております。

○大門実紀史君 是非、自ら調査をしていただきたいと。そういう、こういうときにきちっと各省庁がそれぞれで起きた問題、緊張感を持って自ら律して、積極的に調査をするというふうなものがないから今までこういうことが繰り返されてきたと思いますので、是非調査をお願いしたいと思います。我が党もこの問題、引き続き追及をしていきたいと思います。
 次に、大島農水大臣関係の質問をさせていただきます。
 大島農水大臣の地元であります八戸市で、二〇〇一年十二月に市発注の建設工事の入札参加者の談合に関する排除勧告が出たと思いますけれども、これ、公正取引委員会にお聞きしますが、この談合に、八戸市の談合にかかわった業者の数と課徴金の金額は幾らになるか、教えてください。

○政府参考人(鈴木孝之君) お答え申し上げます。
 お尋ねの事件におきましては、二〇〇一年、昨年、十二月に勧告をいたしまして、全者応諾いたしましたので昨年の一月に審決を発しております。
 その対象となりました事業者数は、土木一式工事で百四十二名、建築一式工事で七十七名、舗装工事で三十九名でございまして、重複を除きました実数で百八十二名でございます。
 その後、課徴金の算定手続に入りまして、昨年の十二月に課徴金納付命令を発出しておりまして、その対象となりました企業数は、実数で百二十八名、命じました課徴金の合計金額は五億七千七百十六万円でございます。

○大門実紀史君 資料の二をごらんいただきたいと思います。この資料の二は、この談合排除勧告を受けた業者から大島農水大臣への献金のリストです。これは資金管理団体、政党支部合わせてですが、約三千七百万円の献金が行われております。
 大島大臣にお聞きいたしますけれども、この献金、返還されましたか。

○国務大臣(大島理森君) 返還はいたしておりません。

○大門実紀史君 小泉総理に少しお伺いしますけれども、小泉総理は厚生大臣の時代に、談合で摘発された病院寝具のリース会社ワタキューセイモアから、当時二十万円の献金を受けられておりましたけれども、これはもう談合がはっきりした談合業者ということで、その献金を返還されていると思いますが、いかがですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 平成八年十二月十一日の参議院予算委員会で答弁したとおり、政治献金は返却いたしました。

○大門実紀史君 私、申し上げたいのは、談合で公共事業の受注あるいは金額を決めるということは、これはもう既に事件ではっきりしているとおり、高い金額につり上げられるわけです。
 この八戸市の談合でも、公取の勧告で違反行為の中身として、受注価格の低落防止を図るために談合した、金額を上げるために談合したということははっきりと指摘されております。しかも、落札率はほとんどもう九八%以上だったわけですね。
 こういう業者からこの資料にあるとおり三千七百万円も巨額の献金を受け取ると。つまり、これは談合で浮いたお金から、業者が受け取ったお金から献金をしたと、受け取ったというふうに思われても仕方がないわけですね。ですから、皆さん返還してきたわけです。少なくとも即刻この三千七百万円、返還されるべきだと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(大島理森君) 私は、この事実は新聞報道で知ったわけではありますが、政治資金規正法にのっとって、それ以前に善意として私どもに寄せていただいた、そういうことでございますので、今それを返還するということがどうであるのか。私は、政治資金規正法にのっとってこのようにきちっと皆さんの前に明らかにしているということでいいのではないかなと、このように思います。

○大門実紀史君 私が申し上げているのは政治資金規正法の問題ではございません。政治家としての道義的な問題も含めて、過去、皆さん返還してきたと。
 小泉総理だけではないんです。私、返還の例を調べてみましたら、森前総理も金沢で談合事件があったときに、そこから受けた献金を二〇〇〇年四月に返却されております。萩山前防衛庁副長官も、同じく談合業者と分かったときに後で百六十八万、返却されております。例の鈴木宗男議員も、鈴木宗男さんも、例の入札停止のやまりんですね、ここで入札停止というような業者になったと分かったときに四百万円、九八年十二月に返却をされています。あの鈴木さんでさえ、鈴木宗男さんでさえ返却しているわけですね。どうして返されないんですか。

○国務大臣(大島理森君) 公正取引法上の問題は問題として、その方々が課徴金という形で責務を負うんだろうと思いますが、私自身どもにそういう問題について今返却しなさいと、こういうふうな御質問でございますが、その点は、既に以前に政治資金規正法にのっとって、そして政治活動、政党活動に対しての志ということの中でのお気持ち、そういうものをまたどう考えたらいいかということを考えると、それはそれとして、私どもとしてはむしろしっかりとした政治をやることの方がいいのではないかと、こういうふうに思っております。

○大門実紀史君 全然私が申し上げている意味がお分かりではないと思うんですが。
 みんな返してきたんですね。なぜかといいますと、先ほど説明したとおりです。その談合によって生まれた献金である可能性があると。すなわち、市民、国民の税金が談合でつり上げられて、そしてあなたのところに行った可能性があると。そういう疑いを持たれてはたまらないから、皆さん返還されているわけです。それを申し上げているんですが、もし返還されないとなると、閣僚の中で談合企業から献金をもらって返還しないのはあなただけということになりますが。

○国務大臣(大島理森君) 談合と言われるその結果から生まれた資金として、皆さんがそういうふうにされたという関係が私は定かでないんだろうと思うんです。したがって、そういうふうなことと、政治資金としてもう数年前にいただいて、それを活動資金としてという思いというものがあると思うんです。
 したがって、今、委員がその疑いがあると、こう言われましたが、その疑いがあるかどうか、私自身、そこの因果関係というものをもう一度こう調べてはみたいと、このように思います。

○大門実紀史君 どうやってお調べになるんですか。

○国務大臣(大島理森君) それは、その事実があったもの等々の月日というのもあるんだろうと思いますし、しかしまた、その方々の思いというのもあるんだろうと思いますので、そういうものをどうであったか聞いてみたいと、このように思います。

○大門実紀史君 そういう問題ではないんです。あなたの国会議員として、あるいは大臣としての資質が問われる問題なんです。御自分でそれは決断して、即刻耳をそろえて返すべきだと思いますが、聞いても同じ答えだと思いますので、総理に伺いますけれども、こういう談合企業からの献金さえ返さない、こういう大臣についていかが思われますか。初めてになりますよ、返さないなんというのは。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、それは初めてかどうか私は分かりませんが、法律にのっとって処理されている。あと、どういう問題があるかというのは個々の議員の事情にもよると思います。また、献金する側の事情がどうなのか、それもありますので、御本人がどう判断されるかという問題でも私はあると思います。

○大門実紀史君 そういう放任主義は御本人のためにもならないと思いますよ。あなたが任命権者ですから、きちっと談合企業の献金ぐらいはきちっと指導されるべきだというふうに申し上げておきたいと思います。
 先日、この委員会で我が党の筆坂秀世参議院議員が取り上げた公共事業受注企業から選挙中に大島大臣への献金があった問題、取り上げました。これは公選法違反、特定寄附の疑いがあると、引っ掛かる疑いがあるということで指摘をしたわけですけれども、そのとき指摘した六つの企業も、先ほど申し上げました八戸市の談合で摘発をされております。
 そこで、この六つの企業について国直轄事業での落札率を調べてみました。資料三をごらんいただきたいというふうに思いますけれども、ちょっと小さな字で見にくいかも分かりませんが、結論申し上げますと、もうほとんど九八パー、これはリストは九八%以上ですけれども、落札率ですけれども、もう一〇〇%もあれば九九・何%もあるというふうな資料であります。
 扇国土交通大臣にお伺いいたしますけれども、落札率というのは国土交通省の予定価格と受注価格のこの比率を示すわけですけれども、ほとんど一〇〇%近い。九六%ぐらい超えるともう談合だと言われていますけれども、もうほとんどこれ資料を見てもらっているとおり、一〇〇%に近いというふうな数字がこう並んでいるわけです。
 一つの例を申し上げますと、この中のある業者ですが、国土交通省が二億二千八百万円で予定価格を想定したと、知らないはずの業者がほとんど二億二千八百の間近のところで落札をしていると。これはもう明らかにこんなことできるわけないんですよ、普通は。手品か透視能力があるか分かりませんけれども、絶対できないことですね、こんなぴったり合うということは。これはもう明らかに国が発注した公共事業で予定価格を知り得た、あるいは談合、口利き、こういう疑いが非常に濃い部分だと思いますが、大臣、いかが思われますか。

○国務大臣(扇千景君) 今、大門議員からこの資料を示されまして、この資料の中身については私も今初めて拝見したものですから、ただ一番最後の、金額は書いてありませんけれども、九九・何%というほとんど一〇〇%に近いという数字がそろっているというのは、今この表を拝見して見ておりますけれども、これがすべて談合の疑いがあるということは私は少し言い過ぎではないかなと思っております。
 それは中には、逆に建設業者に工事の積算というものを先に予定価格を公表することも今しておりますので、それに近い金額であるというものもあるのかないのか、これ金額書いてないものですからちょっと私には分かりませんけれども、少なくとも今おっしゃったように談合の疑いがあるということであれば、そのために皆さん方に作っていただいたあの入札と契約に関する適正化法、この入契法によって、私は、公取にもちろん入っていただくということがあの法案には義務付けられておりますので、私は先ほどからも、談合ということで既に今、その前の資料でも公取から、委員会より排除勧告を受けたものもあるわけですから、このように適正に私はされるものと思っておりますので、今いただいたこの表がすべて談合であると断言し得るには、今私の手元では材料はありませんし、もし疑いあるならば、これも公取が排除勧告なりあるいは検査にお入りになると思っていますけれども、そういう意味では、安ければいいというものでないということも公共工事としては大事なことだと思っております。

○大門実紀史君 お示ししましたこの表が、もう談合でなければ考えられない、まぐれでこんなにぴたっと、九八%が七十六件もあるわけですよ。こんな出るわけありませんので、これは調査をきちっとしてもらいたいということだけ要望しておきます。
 私、申し上げたいのは、談合というのは、過去に摘発された事件がすべてそうですけれども、必ず調整役と口利き役、こういうものが存在しております。
 この間、大島大臣は、秘書の口利き疑惑がずっと報道されたり、あるいは国会でも指摘されているわけですけれども、私、率直にお聞きいたしますが、国直轄のこの六業者が関係するこの工事に、あなた若しくはあなたの秘書が、大臣の秘書が関与されたことはありませんか。

○国務大臣(大島理森君) 一切ございません。
 宮内に様々な問題が報道されて、そして彼に問いただしたときもございますが、それは、発注者に対してどうだこうだというそういう、言われているそういうふうな口利きというのは委員が何を示すのか私は分かりませんけれども、そういうことはございませんということは報告として受けております。また、どこでどういう発注があるかなんというのも私は全く存じ上げません。

○大門実紀史君 その宮内秘書含めて、従来からお願いしています参考人を呼んでいただくことを理事会で協議いただきたいと思います。
 総理、私、お伺いしたいんですけれども、今日指摘しました、談合企業からもらった献金さえ返さない、談合企業の献金さえ返さない、こうやって次々と疑惑が出る、こういう大臣を私は本当にもういつまでも置いておかれることそのものが、本当に国政全体に、あるいは国民の暮らしにも農政にもマイナスになると思いますので、できるだけ速やかな判断をされて辞任を求めていきたいと、いただきたいと、もう辞めさせていただきたいということを申し上げたいと思います。
 総理にあと一言、一つだけ全体の問題を申し上げますけれども、この間、与党で政治資金規正法の見直しの議論が進んでおります。上限を設けるという話も出ておりますが、自民党の参議院の青木幹事長が、上限を設ける代わりに名前を非公表にしたらどうかと、こういう案が出ています。
 私、この間の、ずっと何か問題が起きたらいろいろ法律をいじると、それでも一向になくならなかったのは、抜け道があったからだということを思います。だから一向になくならない。今度も、上限を設けるとか何か改正されるのかという話で、すぐ名前を非公表と。こんなことをしたらもうそもそも政治資金規正法の透明性が失われるわけですね。こんなことはとんでもないと思いますが、総理としてどうお考えですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、政治資金を集めて苦労されている方はよく分かると思うんですが、政治資金提供してくれないかと言うと、名前出るからそれだけは勘弁してくれと言われるんですよ。というと、公表しなきゃならない。で、今たしか五万円ですか、五万円以上は公表しなきゃならないと。あの人に献金するというのはこの収支報告書で分かる、そうすると、あれに献金しながらどうしておれに献金してくれないのかと、これが実に困るんだという、これはもう実情ですよ。そして、できたら、自分はだれに献金しているかというのは分からなければもっと献金したいんだという人も結構いるんです。そういう点も含めて、献金しやすいような形、これどうしたらいいかと、果たして五万円が適当なのかどうか、私はそういう点については一考を要してもいいんじゃないか。
 やはり、政治活動する場合も、その上限は当然設けるべきです。上限は幾らかにすべきだということは、私はこれはいいと思います。しかし、どの程度の額が適当か。公表されたら困るという献金する側の立場、そういう点も考えて私は、一定の制約を設けることは結構だと思いますが、どの程度の制約がいいかというのは、やっぱり各党各会派で議論する余地があると思います。

○委員長(陣内孝雄君) 時間が参りました。

○大門実紀史君 重要な発言がありましたので。
 名前を非公表にする、透明性を失うというのは、抜本的な改悪ですよ。日本マンパワーが毎月百万円……

○委員長(陣内孝雄君) 時間でございますので、おまとめを願います。

○大門実紀史君 全部裏に隠れてしまうわけですから、そういう方向での改悪は断固反対するということを申し上げて、私の質問を終わります。