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2012年3月5日

インドでは、今後も栄養食品の売り上げ増が見込まれる・他

インドでは、今後も栄養食品の売り上げ増が見込まれる

SankeiBiz 2012年1月30日付「インドでペプシ上回る人気 英製薬会社の健康飲料『ホーリック』」によると、英製薬最大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の製品中、インドで最も売れているのは喘息(ぜんそく)やがんの治療薬ではなく、麦芽の粉末をミルクに溶かした健康飲料「ホーリック」とのこと。インドのボトル飲料市場の昨年のシェアトップは、国内ミネラル飲料大手ビスレリのミネラル飲料「ビスレリ」で、ホーリックは同製品に次ぐ2位のシェアを獲得しています。

ホーリックの昨年の売り上げは米ペプシコの「ペプシコーラ」の2倍、米コカ・コーラが製造するインド風コカ・コーラ「サムズ・アップ」のおよそ2倍となりました。ホーリックは、欧州の債務危機が深刻化するなか、GSKがインドと中国で広範な販売促進活動を展開している消費者向け製品の一つです。

消費者向け製品は、利益率は低いものの、着実で低リスクの増収が見込めるうえ、特許期間が終了することもありません。

インドの非薬剤部門における同社の主要製品には、ホーリックのほか、練り歯磨き「センソダイン」、制酸薬「イーノ」があります。これらは昨年、同社の売り上げを19%増加させました。

ホーリックは138年前から製造されていますが、インドでは宗教的な理由から、牛のミルクの代わりに水牛のミルクに溶かした飲料が製造されています。

インフラが貧弱なインド東部および南部ではミルクが不足していることから、ホーリックは昔から国内で高い人気を得ています。主要ターゲットは子供ですが、栄養価の高い成人向けや、妊娠・授乳中の女性向けもあります。

インドは中国以上に子供人口が多く、栄養失調が深刻化していることから、今後も引き続き栄養食品の売り上げ増が見込まれます。

ブランドイメージ向上と、地域に根ざしたマーケティングを強化

2012年2月3日付のNNA Asiaの記事「アシックスが現法設立、域内3社に」は、アシックスが同2日、インドとシンガポールに現地法人を4月に設立すると発表したことについて。「代理店を通じての販売形態を続けるものの、代理店の支援や市場調査などを行う。中期経営計画で掲げた5極のうち、「オセアニア・東南アジア・南アジア」で現法があるのはオーストラリアだけで、2社の設立で同地域の2015年度の売上高目標に144億円を掲げている」とのことです。

インド現法は資本金は600万ルピーで、デリーに設立します。丸紅とインドで業務委託するなどの関係があり、丸紅は25%出資します。今後市場の拡大が見込まれるインドでブランドイメージを向上させ、地域に根ざしたマーケティング活動を強化します。

現在は代理店を通じてスポーツシューズを中心に販売していますが、アパレルなど販売対象を拡大するかどうかは今後の検討課題としています。

1インド政府が単一ブランドの小売業の海外直接投資(FDI)規制を撤廃する一方で、3割の調達を地元中小企業から行う必要があるとの政策変更については、現在小売りは販売代理店が行っているために調達規定の対象外と説明しています。規制の内容が今後変化した場合は、それに則した対応を取るとしています。

シンガポール現法は本社の全額出資子会社で、将来的にアジアの物流ハブ機能や、インド・東南アジアの販売統括機能を付与することも視野に入れています。

シンガポール、インドとも現在は中国やベトナムで生産したシューズを販売しています。2011年4〜12月期決算では、オセアニア・東南アジア・南アジアの売上高比率は4.0%の73億8,900万円となっています。

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土肥克彦(有限会社アイジェイシー

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインドでのソフト開発に携わる。2004年に有限会社アイジェイシーを設立し、インド関連ビジネス・サポートやコンサルティング・サービス等で日印間のビジネスの架け橋として活躍している。また、メールマガジン「インドの今を知る!一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.207(2012年03月05日発行)」に掲載されたものです。

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