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暗黒の1週間 世界株市場、1400兆円吹き飛ぶ

2008年10月11日1時3分

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 金融危機が深刻さを増し、株安が止まらない。10日、日経平均株価は一時1000円以上も暴落。米国のダウ工業株平均も一時、8000ドルの大台を割った。世界の株式市場の時価総額は、9月からの1カ月余りで1400兆円も吹き飛んだとみられる。株安が企業や家計をむしばみ、景気を冷やし、さらに株安に跳ね返る悪循環。米ワシントンで開かれる主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、流れを変えられるのか。

 10日午前(日本時間同日夜)のニューヨーク株式市場は大幅安で始まった。大企業で構成するダウ工業株平均は一時、前日終値より696.68ドル安い7882.51ドルまで値下がりした。取引途中では03年4月初め以来の8000ドル割れ、同年3月以来約5年7カ月ぶりの安値になった。

 その後は前日終値比100ドル超高まで上昇する場面もあったが、売り注文は根強く、昼すぎには再び下げ幅が500ドル前後まで拡大している。ダウ平均は前日まで7営業日続けて下げ、この間の下げ幅は2271.47ドルにもなった。

 これに先だつ東京株式市場の日経平均は10日、03年6月以来約5年4カ月ぶりに9000円を割り込んだ。一時、前日比1042円安まで売り込まれ、終値は881円06銭安い8276円43銭。下落率は53年3月のスターリン暴落に次ぐ史上3位の9.62%だった。下落は7営業日連続で、下げ幅は計3091円。

 東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は64.25ポイント低い840.86と、03年5月の水準まで下落した。出来高は32億7千万株。

 前日の上場不動産投資信託に続き、この日の大和(やまと)生命保険の経営破綻(はたん)で、国内の金融システムへの不安も高まり、売り注文が殺到した。アジア新興国市場の株価指数も軒並み下落。欧州市場の株価指数も急落しており、英国、ドイツ、フランスはいずれも一時マイナス10%超となった。

 世界の株式市場は、6日に米国株価が一時史上最大の800ドルも下落し、7日は東京市場で4年10カ月ぶりに1万円割れ。米自動車大手ゼネラル・モーターズの経営危機が表面化した9日、米市場が急落。東京での暴落につながった。市場関係者は「まるで暗黒の1週間だ」とつぶやく。

 米証券大手が破綻した「リーマン・ショック」が起きた9月から1カ月余りの間に主要市場の下落率は日本が36%を記録。米国が25%、英国が23%、中国・上海が16%に達する。大和総研の試算では、世界の株式市場の時価総額は8月末の約49兆ドルから、9日時点で28%減の約35兆ドルに。日本の国内総生産(500兆円強)の3倍近い14兆ドル(約1400兆円)が失われた。

 ドルやユーロの信用は揺らぎ、東京外国為替市場では円が急伸。10日、一時1ドル=97円91銭を付け、約7カ月ぶりの円高水準に。

 野村証券金融経済研究所によると、上場企業約2300社(金融除く)の保有株式の含み益は3月末の13.3兆円から、10日には3分の1程度の4.2兆円にまで減った。

 また大和総研の試算では、9月末に1477兆円あった家計の金融資産は、投資信託の損失拡大などで10日までに28.8兆円も目減りした。

 投資家の資金は比較的リスクが低い債券市場からも流出。長期金利の指標である新発10年物国債の流通利回りは10日、一時、前日比0.11%幅高い年1.580%まで上昇(債券価格は下落)。市場から逃げ出した資金の多くは、現金として投資家の手元にとどまっている模様だ。

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