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南極大陸で異常事態 大規模な融雪判明 温暖化の影響か

2007年05月27日01時02分

 南極大陸の内陸部で一昨年、氷床を覆う雪が広範囲でとける異常事態が起こっていたことが、わかった。人工衛星でとらえたデータの分析で、米航空宇宙局(NASA)が発表した。南極の内陸でこうした大規模融雪が確認されたのは初めて。観測チームは「南極の内陸で発生した、地球温暖化の影響とみられる最初の兆候。融雪地域の長期観測が必要だ」としている。

写真南極大陸で大規模融雪が起こった場所(黄色や赤色の部分)=NASA提供

 大規模な融雪が起こったのは05年1月。南極大陸の西部を中心に、海岸から900キロも内陸に入った場所や、標高2000メートルを超える高地でも発生。全体では、米国カリフォルニア州(面積約42万平方キロ)に匹敵する範囲で融雪が確認された。

 当時、融雪が起こった一帯では最高気温が5度を超すなど、「異常な高温」が1週間ほど続いたという。観測チームによると「過去30年間で最も深刻な融雪」という。

 南極ではこれまでも、南米側に突き出た南極半島で棚氷が海に崩落するなど、温暖化の影響とみられる現象が起こっている。しかし、観測チームによると、分厚い氷床に覆われた内陸部では、温暖化の影響と判断できる現象はほとんど確認されていなかった。

 とけた雪は氷床の割れ目にしみ込んだり、氷床上で再凍結したりして、海には流れ込まなかったとみられるが、観測チームは「より大規模な融雪が起これば、氷床にしみ込んだ水で、氷床自体が滑りだし、海に押し出されてしまう恐れがある」と警告している。

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