連合、偽装請負で経団連に是正要請へ
2006年08月09日10時21分
連合の高木剛会長は朝日新聞のインタビューに応じ、実態が労働者派遣なのに請負契約を装う違法な労働形態「偽装請負」について、月内に日本経団連に対し是正を申し入れる考えを明らかにした。大手製造業などで問題が表面化していることから会員企業に改善を促すよう求めるという。
高木会長は労働組合にも責任の一端があると認めたうえで、傘下組織に対しても、労使協議などを通じて法令違反のチェックを徹底するよう求める考えを示した。主なやりとりは以下の通り。
――偽装請負の現状をどうみるか。
「蔓延(まんえん)している。各労働組合も問題の指摘は機会をとらえてやってきたと思うが、責任を十分に果たせたとは言えない」
――なぜ、蔓延?
「バブル崩壊後、コスト削減でこういう雇用形態の人が製造現場にも入ってくるのを知りながら(労組は)目をつぶっていた。言葉が過ぎるかもしれないが、消極的な幇助(ほうじょ)。働くルールがゆがむことへの感度が弱かったと言われてもしょうがない」
――見過ごした理由は。
「会社の利益が改善すれば、例えばボーナスで配分を受ける正社員が、配分にあずかれない偽装請負の人をほったらかしたということだ。経営者から『余計なこと言うな』と言われ、『しょうがない』とする弱さを労組が持っていた」
――解消の具体策は。
「法律が悪いのか、ルールの使い方を間違えているのか、連合内で議論を始めている。今のルールが不十分なら、新しいものが必要という議論も出てくるだろう。(今は法規制がない)請負が可能な業種を絞ったり、請負法をつくったりするとか。しかし、一義的には経営側が正さなければならない話。お盆明けにも経団連に『企業に直すよう促して欲しい』と申入書を持って行く」
――請負の拡大が、正社員になれない不安定な「置き去り世代」を生み出してしまった。
「認識はしていた。非正規雇用の正社員化を、経営者に会うたびにお願いしている。所得格差が広がることで、教育を受ける格差、将来の希望の格差も広がる」
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