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BS参入、買い物番組の総量規制へ 大量放送に苦情

2008年7月16日

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 総務省は、新規にBSデジタル放送に参入する業者に対し通販・ショッピング番組など「広告放送」の総量を規制する方針を固めた。BS放送では、番組制作費を節減できる広告放送を大量に流すケースが目立ち視聴者の苦情も多い。同省は今秋にも番組全体に占める広告放送の比率を定める。

 00年に始まったBSデジタル放送は計12チャンネルある。11年からはNHKなどのBSアナログ放送の停止と周波数追加によって、複数局が新規参入できる。総務省は8月に参入の希望調査を始め、今秋、具体的な広告放送の比率を定める。この比率に基づいて09年春に申請を受け付け、同年夏には新規参入者を認定する見通しだ。

 放送法では、番組内容について教養や教育、報道、娯楽の各番組の調和を保つように定めている。日本民間放送連盟(民放連)も、テレビCMを中心に「1週間のコマーシャル総量は総放送時間の18%以内とする」ことを定めている。ただ、調和原則について罰則規定はなく、どのような番組構成にするかは放送局の自主性に委ねられてきた。

 広告放送は一般に、テレビCMとショッピング番組を含むとされる。今回、放送関係者がBS各局の番組表からショッピング番組(テレビCMを除く)を抽出したところ、1週間に流れる割合は平均で全放送時間の4割近くに達した。約6割の局もあった。テレビCMを含めた広告放送の比率は相当高くなる。各局とも番組制作費を節約できるのに加え、通販会社などに番組枠を売りやすい事情もあるようだ。

 ただ、広告に偏った番組編成には視聴者の苦情・相談も増えている。消費者団体の要望もあり、総務省は「広告が自己目的化した番組を大量に流す放送局を優先的に参入させる理由はない」(幹部)と判断。参入希望者に対して広告放送の総量規制を課す。

 今後、BSデジタル放送の参入にあたっては、広告放送の比率が低い申請者を優先する。既存放送局の広告放送の増加にも一定の歯止めをかけるねらいもあるとみられる。

 新しいBS枠にはショッピング番組で収益拡大をねらう大手商社も参入するとみられるが、今回の広告規制によって、放送ビジネスの戦略転換を迫られる可能性がある。(橋田正城)

   ◇

 〈広告放送〉 法令上の明確な定義はないが、他人の依頼にもとづいて周知・宣伝のために行う放送を指す。編集意図、表現の仕方などを総合的にみて、放送局が広告放送に該当するかどうかを判断する。ジュピターショップチャンネル(住友商事系)、QVCジャパン(三井物産系)などの大手商社に加え、ジャパネットたかたもテレビ通販で急成長した。

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